メルマガの件名に絵文字を使用する際の注意点とは?
- メールマーケティング

AIが急速に普及し、私たちの働き方や仕事の進め方は大きく変化しています。
議事録の作成やアイデア出し、画像の作成において、AIを活用している人も多いのではないでしょうか。
こうしたAIによる変化は、メールの「受信ボックス」にも起きています。
今回は、AIによってGmailやOutlookなどメーラーがどう変わってきているのかをメーラー別にご紹介していきます。
GmailやOutlookなど主要なメーラーには、AIという「優秀な秘書」が搭載されています。
▼各メールサービスの直近のAI機能搭載状況
・Gmail
Geminiを統合。メール要約や情報検索などが可能。
・Outlook
Copilotを統合。メール要約や受信トレイの優先順位付けなどが可能。
・Apple Mail(iPhone標準メールアプリ)
Apple Intelligenceを統合。メール要約や優先メッセージ表示などが可能。
・Yahoo!メール
受信時に使われる機能は国内においては未実装(AIで下書き生成といった機能はあり)
各メーラーで実装されているAI機能の詳細をご紹介していきます。
「Gemini」がGmailに統合され、長文のメールを要約してくれるようになりました。Geminiサイドパネルにて「このメールを要約して」といったプロンプトを打ち込み要約してもらうこともできますが、プロンプトを打ち込むことなく要約してくれる以下2パターンの機能も実装されています。
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①自動で表示される「要約カード」
②「このメールを要約」ボタンの表示
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いずれも裏側の仕組みは同じですが、発動条件が異なります。
①要約カード
表示形式:メール本文の最上部に「カード」形式で本文の要約を表示
発動条件:・長文のメール
・メールスレッドが長い
┗複数のやり取り(返信)が含まれており、内容が複雑なものなど、
受信したメールの中でも特に要約が必要だと判断したメールに限定
②「メールを要約」ボタン
表示形式:メール件名の下に表示
発動条件:広範囲のメールにて表示される
※注意点※
本機能は、現在「Google Workspace」アカウント、および「Google One」の特定のGoogle AIプラン(Google AI Pro、Google AI Ultra)会員向けのプレミアム機能であり、一般のGoogleアカウントユーザー全員に提供されているわけではありません。
これにより、本文の重要な部分をピックアップしてAIがまとめてくれるので、最後まで読まずに離脱していたユーザーにも読んでもらえる可能性が高まります。
その一方で、要約の中に伝えたいメッセージが含まれていないと、要約で満足したユーザーに届けたい情報を届けられないという懸念もあります。
参考:Gemini in Gmail でメールスレッドを要約する(Gmailヘルプセンター)
Outlookでは、ビジネス版(Microsoft 365 Copilot)を利用しているユーザー向けにAI機能が提供されています。
開封率に影響する可能性があるため、BtoBの向けメルマガを配信している方は知っておくべき内容です。
これまで、開封率を高めるために一覧画面に表示されるメールの冒頭文(プリヘッダー)を工夫して配信していた方も多いのではないでしょうか。
このプリヘッダーテキストがAI要約によって書き換わることがあります。
すべてのメールで書き換わるわけではなく、メルマガや定型的な通知メールなどにおいて、書き換わることがあるようです。
▼例
これまで:「緊急セール開催中! 今すぐクリックして詳細を確認…」
現在 :「夏物セールの案内。期限は明日まで。」
→AIがメール本文を読み取って、
割引率や期限など特定のアクションにつながる情報を抽出
本機能は、現在ユーザー側でオン/オフの切り替えができない仕様になっています。
Gmail同様に、AIが魅力的な文章に書き換えてくれる場合は問題ありませんが、意図しない内容に書き換わってしまうと、思うように開封率を伸ばせなくなる…という可能性があるので注意が必要です。
AIはメール内容を要約するだけでなく、メールの内容から今すぐ対応すべき重要なメールかどうか振り分けもしてくれます。
メールの内容や送信者、過去履歴を分析して、”今”返信が必要なメールか、緊急度の高い内容か、はたまたメルマガかなどを判断し、重要と判断したメールを「優先」タブに、それ以外は「その他」タブに振り分けられるようになりました。
これにより、緊急度の高くないメルマガなどはユーザーの目に触れる機会が減ってしまう可能性があり、「開封」への影響が危惧されます。
しかし、本機能はユーザー側でオン/オフ設定が可能なので、影響範囲はそこまで大きくはないでしょう。
全ユーザーの受信ボックス上で起きている事象ではないとはいえ、こうした変化に対応したメルマガ配信を心がけることが成果最大化のカギになります。
参考:Outlook での Copilot – 受信トレイの優先度を設定
日本国内で圧倒的なシェアを持つiPhoneの純正メールアプリでも、2025年4月から日本語対応が開始された「Apple Intelligence」により、受信ボックスの見え方が変わってきています。
※注意点※
「Apple Intelligence」が利用できるデバイスは限定されており、影響範囲は以下のデバイス所有者のみになります。
・iPhone: iPhone 15 Pro および iPhone 15 Pro Max 以降のモデル(A17 Proチップ以降を搭載)。
・iPad: M1チップ以降を搭載したモデル(iPad Pro、iPad Airなど)。
・Mac: M1チップ以降を搭載したモデル(MacBook Air、MacBook Proなど)。
これまでは、受信ボックスの一覧画面で件名や送信者情報の下にプリヘッダーが表示されていましたが、ここにAIによるメールの要約文が表示されるようになりました。
Outlookでは、セール情報など特定のアクションにつながる情報を抽出しているのに対して、Apple Mailではメールの主語や話題の論点をまとめる傾向があります。
Outlook同様に、プリヘッダーでの工夫が意味をなさなくなる一方で、AIの要約内容によってはそれが開封の後押しになる可能性もあります。
Outlook同様に、メールの内容を分析して重要もしくは緊急度が高いと判断したメールを「優先メッセージ」として振り分けられるようになっています。
振り分けの基準は、メール本文内に記載の期限や期日、過去の開封や返信といった履歴をもとにユーザーにとって関心が高い、もしくは重要だと思われるメールを「優先メッセージ」と認識する仕様になっています。
優先メッセージと判定されたメールは、受信ボックスの最上部にまとめて表示されるため、緊急度や重要度が高くないと判定されたメールは、受信日時に関係なく下の方に表示されてしまい、ユーザーの目に留まる機会が減る可能性があります。
Outlookとは異なり、Apple Mailではいずれもユーザー側でオン/オフの切り替えが可能になっています。この機能を使うユーザーがどれくらい存在するかによっても影響度合いは左右するでしょう。
参考:iPhoneの「メール」でApple Intelligenceを使用する(iPhoneユーザガイド)
Yahoo!メールにおいては、他メーラーに実装されているようなAI機能の本格的な導入・展開はされていません。
とはいえ、グローバル版ではOutlookやApple Mailのようなプリヘッダーの書き換えや、メールの自動振り分け機能が提供されています。
国内版においてもいつ実装が開始してもおかしくない状況ではあるので、他メーラーと同様に対策しておくのが良いでしょう。
Aiによって各メーラーで様々な変化が起きていますが、すべてが私たちに悪影響ということではありません。
この変化による「ピンチ」と「チャンス」を正しく理解し、対応していくことが大切です。
メールの件名や本文など様々な工夫を凝らしていた部分がAIによって遮断され、メールの「開封」や「クリック」が低下する可能性があります。
▼懸念点
・自動振り分け
AIが重要と判断したメールが優先タブや受信ボックスの上位に表示されるため、メルマガなどの広告メールはユーザーの目に触れる機会が減り、開封率が低下する恐れがある
・AI要約によるプリヘッダーの書き換え
プリヘッダーを書き換えられることで、開封を促すために作成したプリヘッダーが無効化
・AI要約
読者が本文の要約だけを見て満足し、本当に読んでもらいたいコンテンツやCTAまでユーザーがたどりつかず、クリック率低下を引き起こす恐れがある
AI要約やプリヘッダーの書き換えは一見ピンチに思えますが、裏を返せば開封率や読了率が高まるとも言えます。
▼チャンス(可能性)
・AI要約
「最も重要な内容」や「行動すべき理由」が的確に要約されている場合、これまで長文や情報過多で離脱していたユーザーの読了率が高まる可能性がある
・AI要約によるプリヘッダーの書き換え
「最も重要な内容」や「行動すべき理由」が的確に抽出され、より魅力的なプリヘッダーの書き換えられれば、件名だけでは開封しなかった層への開封の後押しになる
こうした変化の中でも変わらずに成果を出すためにはどのような対策が必要なのか。
明日から実践できる5つのポイントをご紹介します。
AIはメールの冒頭部分を重視して要約を作る傾向があります。
そのため、時候のあいさつなどをメインコンテンツに関係のない内容は省略して、メインコンテンツを最初に持ってくるようにしましょう。
そうすることで、AI側による意図しない要約やプリヘッダーの書き換えを防ぐことができます。
これまでも「件名」は開封を左右する重要な要素でしたが、AIによってプリヘッダーの内容が書き換わってしまう今、件名の重要性はさらに増しています。
プリヘッダーの内容が意図しない内容になったとしても、魅力的な件名であればユーザーの目に留まり、開封を促すことができます。
ユーザーの開封を後押しする魅力的な件名を意識しましょう。
BtoC向けメルマガでは、画像メインのメールを作成することも多いでしょう。しかし、AIは画像から文字を読み取ることに失敗することもあります。
AIにうまく読み取ってもらえないということは、意図しないAI要約・プリヘッダーになったり、重要な内容なのに重要なメールではないと判断され、下の方に表示されてしまう確率が高まります。
また、画像のみのメールよりもテキストメール(テキスト比率の高いHTMLメール)の方が、AIに「1to1メール=広告ではない重要なメール」と認識されやすくなります。
だからといって、画像をなくす必要はありません。
重要な内容はテキストにしたり、いつもよりテキスト比率を多めにするだけで対策可能ですので、ぜひ試してみてください。
OutlookやApple Mailではメルマガなどの広告メールがその他タブに振り分けられたり、受信ボックスの下の方に表示されてしまう可能性があります。
こうした状況下でもユーザーに見つけてもらうためには、件名やプリヘッダーだけでなく、「ブランドロゴ」で存在感を出しましょう。
受信ボックスでブランドロゴを表示するには、「BIMI」の設定が必要です。
「BIMI」とは、メール認証技術の1つで、設定することで自社やサービスのロゴを一覧画面に表示させることができます。
すべてのメーラーで対応しているわけではなく、各メーラーの対応状況は以下の通りです。
・対応済:Gmail、Apple Mail
・検討中:Yahoo!メール
・未対応:Outlook
BIMIの詳細や設定方法はこちらの記事をご参考ください。
なりすましメール対策~DMARCとBIMIのすすめ~ / 株式会社NTTデータ先端技術
AIによってメールが重要かそうではないかに振り分けられるのであれば、AIに「重要」だと認識してもらえれば良いのです。
AIが重要だと判断するのは、
・普段から読まれている
・過去にやり取りをしたことがある
メールです。
開封やクリック、返信などのユーザーからのエンゲージメントを高めることで、重要なメールだと認識されやすくなります。
AIによってメール配信においても様々な変化が起きていますが、これによってメール配信の成果が鈍化するわけではありません。
私たちの工夫次第で、AIが魅力的な要約やプリヘッダーを生成してくれたり、受信ボックスの上位に表示してくれたりと、最高の編集者になってくれます。
本記事で紹介したTipsを実践して、さらなる成果獲得を目指しましょう!