カスタマーサクセスのメール業務を効率化する秘訣とは? 2つのツールをご紹介!
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昨今、顧客との関係性構築を目的にカスタマーサクセスを取り入れる企業が多くなってきました。とはいえ、まだまだカスタマーサクセスにおいて「成功した」といえる事例は少ないのではないでしょうか。
今回はそんなカスタマーサクセスを成功に導くためのKPIとその設定方法をご紹介いたします。
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まずは、カスタマーサクセスでよく用いられる代表的なKPIをご紹介します。
・解約率(チャーンレート)
・顧客生涯価値(LTV)
・顧客満足度(CSAT)
・オンボーディング完了率
・アップセル・クロスセル率
・アクティブユーザー率
・ヘルススコア
・NPS®
これら8つのKPIの概要と算出方法を以下にてお伝えいたします。
解約率とは、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標です。カスタマーサクセスにおいては成果を測るうえで最重要の指標とも言えます。解約率の悪化は当然のことながら収益に影響しますし、そのような状態は顧客満足度が低い状態ともいえます。悪化の兆候がみえた場合は素早い対処が必要です。
▼計算式
(解約数 / 契約件数)× 100
顧客生涯価値とは、顧客一人あたりが企業に与える利益の総額を示す指標です。LTV(Life Time Value)とも言います。高ければ高いほど長く製品を愛用していただいているとも言えますので、カスタマーサクセスとしては見ておくべき指標のひとつです。
▼計算式
平均顧客単価 × 平均顧客購入回数 × 平均契約継続期間
顧客満足度とは、顧客が製品やサービスに対してどの程度満足しているかを測る指標です。CSAT(Customer Satisfaction Score)とも言います。アンケートやインタビューといった調査にて顧客満足度を数値化します。
▼算出方法
満足度調査による定量データの平均値
カスタマーサクセスでいうオンボーディングとは、顧客がサービスを導入してから実際に運用を開始し、定着した状態になるまでの期間を指します。このオンボーディングが完了した顧客が多ければ多いほど長くサービスを活用してもらえる可能性が高まるので、オンボーディング完了率もカスタマーサクセスとしては重要な指標です。
▼計算式
(オンボーディング完了顧客数 / オンボーディング開始顧客数) × 100
アップセル率やクロスセル率もカスタマーサクセスにおいてよく設定されるKPIです。アップセルとは現状契約しているプランからより上位のプランを提案し、購入してもらうことです。クロスセルは現状契約とは別のサービスを提案、購入してもらうことです。それぞれ割合が高ければ高いほど、顧客単価の向上につながります。
▼計算式(アップセルの場合)
(上位プランを契約した顧客数 / 全顧客数) × 100
▼計算式(クロスセルの場合)
(別サービスを契約した顧客数 / 全顧客数) × 100
アクティブユーザーとは、顧客のなかでも実際にサービスを利用しているユーザーを指します。一般的にはアクティブユーザーが多ければ多いほど解約にはつながりにくいとされています。確認する指標としては日次(DAU)や月次(MAU)など期間によって分類されます。アクティブユーザーの算出方法はいくつかあり、自社サービスに添った算出方法を取り入れるとよいでしょう。
▼算出方法の例
・ログイン数
・セッション数
・ページビュー数
・イベント数
ヘルススコアとは、顧客がサービスを継続利用する可能性を示す指標です。定量、定性含めサービス利用状況をスコア化し、各スコアの状態を定義することで解約リスクを予測することが可能です。このヘルススコアによって、解約が発生する前にの適切なタイミングで適切なサポートを提供することが可能になります。
利用状況のスコアに活用される要素の例としては以下の通りです。
▼ヘルススコアの要素例
・ログイン数
・利用時間
・機能利用率
・顧客満足度
NPS®(Net Promoter Score®)とは顧客ロイヤルティを測る指標です。具体的には、アンケート調査で「サービスを他の人に推奨する可能性」を0~10の11段階で評価してもらいます。調査に関しては以下の2問を顧客に尋ねるだけと比較的簡単です。
質問1:当社のサービスを他の人に推奨する可能性はどのくらいありますか?
回答1:0~10の11段階の選択肢
質問2:当社のサービスを推奨できない理由は何ですか?
回答2:テキスト形式
NPSの算出は以下の式を利用して計算されます。
(推奨者 – 批判者)/ 回答者数 × 100
・推奨者…9~10を付けた回答者
・中立者…7~8を付けた回答者
・批判者…0~6を付けた回答者
最終的なスコアの範囲は-100~+100までになります。各スコアの分類は以下の通りです。
・+70以上 :優秀
・+30~+69 :良好
・0~+29 :改善の余地あり
・0以下 :今すぐ改善すべき
ここでは上記にて紹介したKPIをカスタマーサクセス組織/個人の両面において、どのように設定すべきかご紹介いたします。
組織のKPIはチーム全体で共有し、共通認識を持つことが重要です。メンバー全員がチームとして何を目標に向かっていくのかを理解することで、達成に向けて一丸となって取り組むことができます。
そんなカスタマーサクセスチームとして設定すべきKPIは解約率と顧客生涯価値(LTV)です。
解約率は上述した通り、その数値がダイレクトに事業の収益に影響していくので、チーム全体で現状の解約率を把握し、悪化していれば改善に向かうように取り組んでいく必要があります。
解約率を改善させるには、アクティブユーザー数を増やしたり、オンボーディング完了率を高めることが重要となります。また、ヘルススコアを定期的に確認し、解約危険のある顧客には適切にサポートすることも解約率の改善に役立ちます。
顧客生涯価値はカスタマーサクセスにおいての指針となる「価値があると感じてもらっている」と「長く使ってもらっている」が定量的に把握できます。価値があると感じてもらっていれば平均顧客単価や平均顧客購入回数に直結しますし、長く使ってもらっていれば平均契約継続期間に直結します。
平均顧客単価や平均顧客購入回数はアップセルやクロスセルといった施策の強化によって向上させることが可能です。平均契約継続期間については、顧客満足度などで動向を把握しながら、オンボーディングなどの活動によって改善を図ることができます。
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個人のKPIは基本的に、組織の目標達成に貢献できるものになります。例えば、チームとして解約率改善を方針として掲げているのであれば、オンボーディングの完了率やヘルススコアの一定割合到達などが個人で設定するKPIの候補になります。
また、自身のチーム内での役割によって設定するKPIが変わりますので、以下を参考に設定していきましょう。
組織でのKPIの設定方法でもお伝えしましたが、オンボーディング完了率は向上すれば、解約率の改善につながるKPIのひとつです。個人での設定方法としては、メンバーが担当する顧客数を母数として、そのなかで何割の顧客をオンボーディング完了まで導けたか、が望ましいです。完了率の目安としては、アクティブユーザー率と同等、もしくは+10%程度になります。オンボーディング施策を実施している場合は現状の完了率を目安にKPIを設定するといいでしょう。
顧客生涯価値(LTV)の向上を組織のKPIとして設定しているなら、アップセルやクロスセルの割合を個人のKPIとして設定するのがオススメです。ただし、メンバーのレベルによって定義を変更しましょう。なぜなら、カスタマーサクセスの経験が豊富であれば契約数でも問題ないですが、経験が浅いと契約まで進めることが困難なケースが多いからです。経験が浅い場合は、アップセルやクロスセル目的の商談数を定義としてKPIを設定しましょう。
カスタマーサクセスは顧客にとっては自社の専属担当という位置付けです。そのため、担当メンバーの対応品質が低ければ、当然解約の可能性は高まります。そんな自身の対応品質を定量的に表せるのが顧客満足度やNPS®です。これらのKPIが高ければ、品質の高い対応ができているということなので、長く使ってもらえる可能性がより向上するでしょう。
カスタマーサクセスにおけるKPIの紹介と設定方法を解説いたしました。
まだまだカスタマーサクセスにおける正攻法は確立されておりませんが、上述したKPIを駆使していただければ、成功につながる可能性は高まりますので、ぜひ参考いただけますと幸いです。
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