AIによって変わる受信ボックス|変わらず成果を出すためにできることは?
- メールマーケティング

営業メールの作成にかなりの時間を使っている方も多いのではないでしょうか。
「件名が思いつかなくて手が止まる」「失礼のない文面にしようとして時間がかかる」「もっと響く提案内容にしたいけれど、アイデアが出ない」……。
こうした悩みは、多くの営業担当者が抱えています。
そこで今、注目されているのが「生成AI」の活用です。
特にメールなどの文章生成は、生成AIが最も得意とするジャンルの1つです。
ChatGPTやGeminiなどの生成AIを活用することで、メール作成の時間を大幅に短縮し、さらには反応率も向上させることも可能です。
今回は、コピペですぐに使える営業メールの実践的なプロンプトを6つ、目的別にご紹介します。ぜひ、日々の営業活動にお役立てください。
営業メールと一口に言っても、その目的は「アポ獲得」「情報提供」「掘り起こし」など多岐にわたります。
ここでは、BtoB営業の現場でよくある6つのシーン別に、すぐに使えるプロンプトの具体例をご用意しました。※[ ]で囲まれた部分は、自社の状況に合わせて書き換えてご使用ください。
新規開拓において最もハードルが高いのが、最初の「アポイント獲得」です。相手に「自分にとってメリットがある」と感じてもらうためには、課題への共感とベネフィットの提示が不可欠です。
■プロンプト例
| あなたはBtoB営業のプロフェッショナルです。以下の条件で、新規開拓のためのアポイント打診メールを作成してください。 # 前提条件 ・送信元:[株式会社〇〇(自社名)] ・商材:[クラウド型経費精算システム] ・送信先:[従業員数100名〜300名規模の企業の経理担当者] ・相手の課題仮説:[インボイス制度対応で業務負荷が増大している]、[紙の領収書管理に限界を感じている] # 制約事項 ・件名は20文字以内で、開封したくなるような具体的なメリットを入れること ・本文は簡潔に、スマホでも読みやすい構成にすること ・押し売り感を出しすぎず、まずは「情報交換」のスタンスでアポを打診すること ・「3つの導入メリット」を箇条書きで記載すること |
このように、「相手の課題仮説」をAIにインプットすることが重要です。単なる機能紹介ではなく、「あなたの課題を解決できます」というスタンスの文面を作成させることで、自分ごととして捉えてもらいやすくなります。
なお、件名の文字数については、20文字以内に収めると開封率が高く、25文字より文字数が多くなると開封率が低くなる傾向があることが楽楽メールマーケティング(旧:配配メール)の調査でわかっています。
| ▼【検証結果】件名の文字数による開封率の違い・~20文字 : 21.67% ・21~25文字: 21.04% ・26文字~ : 19.95% |
参考:【メール徹底検証】件名や配信時間、CTAのデザインはどれが正解!?すぐに活かせる8つの結果
一度接点を持ったものの、具体的な商談に進んでいない相手への提案メールです。「なぜ今、提案するのか」という理由付けをAIに考えてもらうことがポイントです。
■プロンプト例
| あなたは優秀なインサイドセールスです。 以下の #ターゲット情報 に記載している接点ありの見込み顧客に対し、具体的な商談を提案するメールを作成してください。 # ターゲット情報 ・役職:[マーケティング部長] ・関心事:[Webサイトからのリード獲得数を増やしたい] ・前回の接点:[展示会ブースで事例集を配布済み] # メールの構成案 1. 展示会来場のお礼 2. 同業他社で[リード獲得数が2倍になった事例]があることの紹介 3. 貴社に合わせたシミュレーションが可能であることの提示 4. オンラインで15分ほどの打ち合わせ打診 # トーン&マナー ・丁寧かつ自信を持ったトーン ・相手の時間を尊重し、負担感を与えない表現 |
「同業他社の事例」や「シミュレーション」といった具体的なフックを用意することで、商談化率を高めることができます。AIに構成案を指定することで、論理展開のしっかりしたメールが出力されます。
すぐに商談化しない、または休眠顧客に対する、中長期的に関係を維持するためのナーチャリング(育成)メールです。売り込み色をなるべく消し、役立つ情報を届けることに意識を向けることが重要です。
■プロンプト例
| 既存リスト向けのメルマガ(ニュースレター)の本文を作成してください。 今回のテーマは「[2026年版 デジタルマーケティングのトレンド予測]」です。 # 記事の要点 ・[AI活用の本格化] ・[Cookie規制による1st Partyデータの重要性] ・[動画コンテンツの短尺化] # 要望 ・冒頭で読者の興味を惹くような「問いかけ」を入れること ・専門用語を使いすぎず、初心者でもわかる平易な言葉で解説すること ・詳細な解説記事(ブログ)へのリンククリックを促す文章で締めくくること |
メルマガのネタ出しや要約はAIの得意分野です。箇条書きの要点を渡すだけで、読みやすい文章に整えてくれます。「専門用語を使わない」という制約を入れることで、読み手のストレスを減らす工夫を行うことも可能です。
セミナー集客は、タイトルと「参加するメリット」を明確にすることがポイントです。ターゲットに刺さる切り口をAIに複数案出してもらうのも効果的です。
■プロンプト例
| 以下のセミナーへの集客メールを作成してください。 # セミナー概要 ・タイトル:[失敗しないSFA導入・定着化セミナー] ・対象:[営業マネージャー、DX推進担当者] ・内容:[SFA導入で失敗する3つの共通点と、定着化させるための具体的なステップ] ・日時:[〇月〇日 14:00〜15:00(オンライン)] # 指示 ・ターゲットが抱えているであろう「SFAを入れても現場が使ってくれない」という悩みに寄り添う書き出しにしてください。 ・「本セミナーで得られること」を3点、魅力的にまとめてください。 ・件名は、緊急性を感じさせるものを含め3パターン提案してください。 ・ランディングページ([https:~~~~])へのリンクは必ずファーストビューに入れてください。 |
セミナーの内容だけでなく、「誰の、どんな悩みを解決するものか」をAIに理解させることで、訴求力の高い案内文が完成します。件名を複数案出させることで、ABテストにも活用できます。
HTMLメール形式でさらに効果の高い集客メールを作成したい場合は、以下の記事が参考になります。
参考:メール配信だけでウェビナー集客100名超!明日からマネできるメール作成のコツ6選
過去に失注した案件や、しばらく連絡が取れていない顧客への再アプローチメールです。気まずさを感じさせない、自然なきっかけ作りをAIに依頼します。
■プロンプト例
| 過去に商談したが失注、または連絡が途絶えてから半年が経過したお客様への「掘り起こしメール」を作成してください。 # フックとなる話題 ・[新機能「AIアシスト」がリリースされたこと] ・[導入企業の成功事例が増えていること] # 制約事項 ・「ご無沙汰しております」から始めつつ、唐突感のない自然な流れにすること ・売り込みではなく「最新情報のご案内」というスタンスをとること ・「もし現在の状況が変わっていれば」という低姿勢なニュアンスを含めること ・文字数は[400文字]程度に収めること |
掘り起こしメールは、文章のニュアンス調整が難しいものですが、AIなら「低姿勢なニュアンスで」「自然な流れで」といったトーンの指示を忠実に再現してくれます。
参考:休眠顧客の掘り起こしを10倍に効率化したメール施策と実際の文例
日程調整や資料送付後など、相手からの返信がない場合に送る催促メールです。相手を責めず、かつ確実にアクションを促すバランスが求められます。
■プロンプト例
| 日程調整のメールを送ってから3日が経過しましたが、返信がないお客様へのリマインドメールを作成してください。# 要件 ・件名:[【再送】お打ち合わせ日程の件につきまして] ・相手が忙しくて見落としている可能性を配慮した、角の立たない丁寧な表現にすること ・再度、日程候補を3つ提示すること([日程A]、[日程B]、[日程C]) ・このメールへの返信で確定できることを伝え、相手の手間を減らすこと |
「角の立たない丁寧な表現」と指示することで、人間関係を損ねずにリマインドが可能です。また、再送メールである旨を件名で明示するテクニックも有効です。
質の高い回答をAIから引き出すためには、指示の出し方(プロンプト)に一定の型を持たせることが大切です。
弊社でも活用している基本的な型をご紹介します。
| ① 役割の定義 「あなたはBtoB営業のプロです」「優秀なコピーライターです」など、AIに演じてほしい役割を指定します。 ② 目的と背景 誰に、何のために送るメールなのか、背景情報を伝えます。ターゲットの解像度が高いほど、精度が上がります。 ③ 入力情報 商材の特徴、ターゲットの課題、セミナー概要など、メール作成に必要な素材を提供します。 ④ 制約条件 文字数、トーン&マナー(親しみやすく/堅めに)、禁止事項(専門用語NGなど)を指定します。 ⑤ 出力形式 「件名3案と本文」「プレーンテキスト形式」など、どのような形で出力してほしいかを指定します。 |
この5つの要素を意識してプロンプトを組み立てるだけで、AIの回答精度は飛躍的にアップします。
AIを活用して営業メールを作成する際、特に意識すべきポイントは以下の3点です。
「企業への営業メール」といった曖昧な指示では、当たり障りのない一般的な文面しか出てきません。
「従業員数〇名規模の、〇〇業界の、〇〇という課題を持っている部長クラス」のように、読み手の顔が浮かぶレベルまで詳細に設定することで、相手の心に刺さる言葉選びが可能になります。
生成AIは非常に優秀ですが、もっともらしい顔をして嘘をつく(ハルシネーション)ことがあります。特に、自社のサービス内容や事例の数値などは、必ず人間の目で事実確認を行ってください。
また、AI特有の「少し硬すぎる表現」や「不自然な接続詞」が含まれることもあります。最後は必ず人の手で、温かみのある文章に調整しましょう。
プロンプトの中に、顧客の実名や電話番号、未公開の社内機密などを入力してはいけません。学習データとして利用されるリスクがあるため、固有名詞は「A社」「B様」のように伏せ字にするか、一般的な表現に置き換えて入力するよう徹底しましょう。
ここでは、弊社が実施した調査「BtoBセールスにおける生成AI活用実態調査」でわかった、営業の現場で人気の生成AIツールについてランキング形式でご紹介します。

(参考:【調査結果】営業に生成AIはどう活用できる?明日から使える業務効率化テクニックも紹介 | 配配メールBridge)
「現在、業務で利用している生成AIツール・サービス」について尋ねたところ、『ChatGPT(57.9%)』と回答した方が最多となり、『Microsoft Copilot(31.2%)』『Google Gemini(31.0%)』と続きました。
それぞれに得意なことがあるため、自身の業務スタイルや主に使っているIT環境に合わせて選ぶことが重要です。
対話形式で自然な文章を生成。汎用性が非常に高く、アイデア出しから文章作成まで幅広く対応可能です。メールや提案書のドラフト作成・提案内容の壁打ちや、トークスクリプトの作成などが得意で、幅広く生成AIを試してみたい方や、文章作成業務を効率化したい方におすすめな生成AIです。
Microsoft 365との連携が特徴。Bing検索と連携し、リアルタイム性の高い情報収集が可能な生成AIです。最新の業界ニュースや競合情報の収集・Word/PowerPointでの資料作成支援・Teams会議の要約が得意で、Office製品(Word, Excel, PowerPoint)を日常的に利用している方や、最新情報のリサーチを効率化したい方におすすめです。
Google Workspaceとの連携が強み。マルチモーダルな情報処理(テキスト、画像など)に優れた生成AIです。Gmailでのメール文面作成支援・Google Meetの議事録要約・Googleドライブ内の情報検索が得意で、Google Workspace(Gmail, Drive, Meetなど)をメインで利用している方や、リサーチやデータ整理を効率化したい方におすすめです。
参考:【調査結果】営業に生成AIはどう活用できる?明日から使える業務効率化テクニックも紹介
生成AIは、営業担当者にとって「メール作成時間を短縮し、本来注力すべき商談や顧客との対話に時間を使う」ための強力な武器になります。
しかし、AIはあくまで「ドラフト(下書き)作成」の補助ツールです。
AIが作成した土台に、営業担当者自身の「経験」や「想い」、そして「顧客への配慮」を乗せることで、初めて人の心を動かすメールが完成します。
まずは今回ご紹介したプロンプトをコピペして、日々のメール作成に取り入れてみてください。ご自身なりのアレンジを加えながら、勝ちパターンを見つけていただければと思います。
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また、クリック情報やサイト訪問情報を営業担当に通知することもできるため、「アツい見込み客」を逃さずキャッチし、効率的な営業活動を可能にします。
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