【イベントレポート】 御社のメール見せてください!! BtoB企業編第5弾 文面作成のコツ/開封率・クリック率/コンテンツ選定の考え方を大公開
- 事例/インタビュー
2020年7月某日、弊社MC事業部長の安藤が、ある外資系大手SaaS企業様からの依頼を受け、メールマーケティングについての研修を開催いたしました。当日のセミナー内容やメール添削ポイントなど、研修で紹介した内容をレポートとしてまとめましたのでご覧ください。
まず初めに、メールマーケティングの基本的な知識についてのショートセミナーを行いました。
昔からマーケティング施策として活用されているメールマーケティングが、なぜ最近注目されているのか。その理由は、「普及率」と「費用対効果」の高さにあります。
メールは、歴史が長く普及率も非常に高いため、多くの人にアプローチができるツールです(ユーザー数はTwitterの15倍と言われています!)。
そのうえ、メールでは文字数や画像枚数の制限もほとんどないので、自由に表現ができるという点も注目されている理由の1つです。 また、メールは一通あたりにかかるコストはわずか数円ですので、非常に投資対効果の高いマーケティング施策と言われています。キャンペーンモニター社の調査によると、メールマーケティングの投資対効果はなんと44倍とのこと!
メルマガとメールマーケティングの違いは目的にあると安藤は言います。
読者に情報を届けることが目的のメルマガでは、作成者には文章力やデザイン力などと言った表現力が求められます。 しかし、メールマーケティングの目的は読者に購買や資料請求などアクションを起こしてもらうこと(=態度変容)です。そのため、人を魅了する文章力や洗練されたデザイン力などは必要ありません。むしろ、態度変容につながらないのであれば、魅力的な文章やデザインは無意味とも言えます。
メールマーケティングを行う上で必ず遵守すべき「特定電子メール法」という法律があります。この法律のポイントは、「オプトイン」「オプトアウト」「表示義務」です。それぞれのポイントを簡単に説明すると以下の通りです。
オプトイン | 事前に承諾を得ている人にしか、メルマガを送ってはいけない |
オプトアウト | 承諾を取り消した人(購読解除)には、メルマガを送ってはいけない |
表示義務 | 送信者の名称や住所、またオプトアウトするための導線などをメール内に記載しなければいけない |
メルマガは、「読みたい人」に「読みたいと思う間」だけ送ることができるメッセージツールということになります。
メールマーケティングで見るべき指標は下記の5つ。 メールを配信してから、ランディングページなど目的の場所に到達するまでのプロセスをチェックするためのKPIです。
メールマーケティングの成果を出すには、“適切なリストに、適切なタイミングで、適切なコンテンツを届ける”ということが重要です。
適切なリストにメルマガを配信するためには、リストの質を高めることがカギになってきます。どのような企業においても、リストは以下の3つのファネルに分かれます。メールマーケティングで成果を出すためには、ファネルの特徴を理解して、ファネル毎に必要とされているメッセージを配信する必要があります。
メールの一斉送信で効果が出ていないという方は、ファネルごとのセグメント配信をすることで変わってくるかもしれません。また、成果が出ないのはリストの量だと考える方が多くいますが、問題なのは「量」ではなく「質」です。
リストの質を上げるためには、
・事前に読者に対して十分な情報を与える(入口で購読者の質を上げる)
・購読解除を恐れない(態度変容を起こさない人はスムーズに出口に誘導する)ことが重要です。
メルマガ購読前に、購読することでどのような情報が得られるのかを明確にしておくと、得られる情報の価値判断を購読者に委ねることになります。その上で購読を選択した層は、態度変容を起こす可能性の高い層となります。
また、購読解除を恐れる方も多くいますが、購読解除をする読者はその企業から送られる情報を必要としておらず、今後も態度変容を起こす可能性の低い層になるので、リストから外れることに何の問題もありません。そうすることで必然と質の高いリストになっていきます。
では、今あるリストを各ファネル振り分ける場合はどう分類していくのか。
上記のように、「リストに登録された経路」「リストに入った時期」「リストに対してメール配信をした反応」などで分けることができます。
まずは、このように振り分けたリストに対してセグメント配信を行い、その反応をもとに自社に合ったパターンを見つけていきましょう。
配信しているメルマガのタイミングを測るのに最適なKPIは開封率です。
メルマガの平均開封率は15~25%ほどと言われています。つまり、半数以上のメルマガは開封されていないという悲しい現実…。また、弊社でメルマガを読む・読まないをどのように判断しているか調査したところ、多くの読者が「その時目に入ったメルマガを読む」と回答しました。
では、読者のたまたま目に入るときを狙うには、どれくらいの頻度でいつ送るのが良いのでしょうか。
最適な頻度は、送信者と読者との関係性によって変わります。
自らの意思で購読している読者は製品やサービスに関心を持っているため、高い頻度でメルマガを受信しても迷惑とは感じません。ですので、良いリストを作るためには読者に意識的に購読してもらうための導線を作っておくことが重要です。
次に、配信日時ですが、BtoBなら平日の日中、BtoCなら金曜の夜を含む週末の余暇時間が鉄板です。
コンテンツの質は反応率で測ることができます。メールを開封した人がどれくらい文中のリンクをクリックし、LPなど目的の場所へデリバーすることができたかを計測するKPIです。
クリック数を上げるために開封率を上げようと、大げさな件名(釣りタイトル)を付けるケースを見かけます。しかし、弊社と株式会社WACULとの共同研究の結果から、件名とコンテンツの関連性が高いメールの方がクリック数は多いということが分かりました。クリック数を上げるためには、大げさな件名ではなく、コンテンツの具体的な内容に触れた件名を付けた方が最終的な成果は良くなるのです。
次に本文ですが、メールの平均的な閲読時間はおよそ7秒と言われています。7秒で読める文字数は約140字ですので、「態度変容」が目的のメルマガであれば、配信内容に直接関連のない編集後記やあいさつは必要ありません。
また、CTA(コールトゥーアクション:行動を促すパーツのこと)をいくつも設置しているメールをよく見かけますが、2つ目以降のCTAのクリック率は、下に行くにつれて半減していきます。最終的な成果の総和を期待するのであれば、1メールにつき1CTAが良いと言えます。
まとめると以下の通りです。
◆差出人名
BtoBなら担当者名と社名、BtoCなら読者に認知されている社名もしくはサービス名をつけましょう。
◆件名
短く簡潔に。かつ、コンテンツの内容を具体的に表したものにするのがGOOD。
◆本文
内容に関係のないあいさつは不要。CTAはできるだけ1つに絞る。
よくある失敗例として、
・効果が出ない原因を「リストの量」と勘違いして、質の低いリストを集める
・購読解除を恐れて、配信回数を減らす
・文章やデザインの作成に時間を使いすぎる
があります。
メールマーケティング成果を出すために必要なのは、「継続」です。 兼任でメールマーケティングを行っている企業が多いと思いますので、最小の労力でポイントを押さえつつ、配信を続けることが大切です。
ショートセミナーの後は、メールの添削を行いました。今回は、主な添削ポイントを抜粋して、ご紹介します!
弊社の調査では、HTMLメールのボタンリンクはテキストリンクに比べ、8倍ほどクリック数が高いという結果が出ています。CTAを設置する場合は、できる限りボタンにすることで高い成果が期待できます。
セミナー参加者にThanksメールを送る場合は、
件名:登壇者の名前やセミナー名など受信者が認知しているもの
本文:ファーストビューに登壇者の写真
を記載すると良いでしょう。
参加者が認知している名前と顔を出すと開封率や反応率は良くなります。
セミナーで、件名は25字程度が好ましいとお話したように、件名はできるだけ短くメールの内容が分かりやすいものが良いです。できるだけ文字数を削減するためにも、会社名や担当者名などは差出人名に設定し、件名からは省きましょう。
メールマーケティングにおいて、HTMLメールの方が効果は出やすいとお話していましたが、営業メールにおいてはメルマガのように画像や色を使ったHTMLメールは警戒される場合があります。
とはいえ、テキストメールだとどうしても単調になってしまうので、リッチテキストメールをおすすめします。一部文章を太字にしたり、行間を広くする程度であれば、HTMLメールと思う方も少なく、警戒されることもないでしょう。
また、HTMLメールの作成は難しいという方でもリッチテキストメールであれば、Wordの操作と変わらないので誰でもカンタンに作成できると思います。
セミナー終盤では質疑応答を行いましたので、抜粋してご紹介します。
安藤の回答
リストの質→不達率と購読解除率、タイミングとコンテンツ→開封率・反応率・クリック率で計測することができます。数値が何倍も変わっていた場合は、その原因を分析する必要がありますが、多少の数値の変化(数%の変化)は気にする必要はありません。
安藤の回答
開封率を上げたいのであれば、平日のお昼前後が良いでしょう。資料ダウンロードを目的に配信しているメルマガであれば、夕方の方が反応は良い傾向にあります。
時間帯だけではなく、曜日でも反応に差が出ます。金曜日や月曜日は反応があまりよくないので、平日に配信するのであれば火曜日から木曜日が良いでしょう。
始業時間帯あたりに配信しているメルマガも見かけますが、始業直後は他のメール処理に追われ、埋もれてしまうのでおすすめしません。とはいえ、このあたりは個社ごとに異なりますので、まずは自社のWebサイトが良く見られている曜日・時間に合わせるのが良いと思います。
安藤の回答
イベントやセミナー案内メールなどで、「何日まで」など日付や締め切りを強調する場合に使用するのは良いですが、基本的には文字装飾のための記号はいりません。迷惑メール判定の基準に、記号が関係しているという話もあります。真偽は分かりませんが、過度な使用は避けた方が良いでしょう。
安藤の回答
1回目は、配信1時間後です。この時点で8割ほど結果は確定します。1回目の効果測定で反応が悪い場合は、再度配信することもあります。2回目は24時間後。この時点で出た結果を最終的な成果としています 。
安藤の回答
多くの人が、受信者はメールを最後まで読んでいると思われているかもしれませんが、メールの平均閲読時間は7秒以内です。丁寧な表現や修飾語で文章が長くなってしまうぐらいであれば、削った方が良いでしょう。端的にメールの目的を説明する方が、最終的な成果につながりやすいと思います。
安藤の回答
効果は高いと思います。弊社でも活用していて、資料ダウンロードを目的としたメールに、その資料の3枚目ぐらいまでをGIF画像にした時はクリック率が向上しました。
いかがでしたでしょうか?
メールマーケティングを効率よく運用できていない、あまり効果が出ていないと感じている方は、ぜひレポートでご紹介したポイントを試してみてはいかがでしょうか。
また紹介した内容は業種業態によって効果の差はあるかと思います。まずは、自社で気軽に取り入れられるものから初めてみるのが良いかもしれません!
以上、メールマーケティングについての研修レポートでした! 最後までご覧いただき、ありがとうございます。