【イベントレポート】 御社のメール見せてください!! BtoB企業編第5弾 文面作成のコツ/開封率・クリック率/コンテンツ選定の考え方を大公開
- 事例/インタビュー
2020年10月13日に、メールマーケティングサ―ビスを扱う株式会社構造計画研究所さんと弊社の初となる共催イベント「メールマーケティングの教科書~国内外のメールマーケティングを担う主要ベンダー2社が語る~」を開催いたしました。
株式会社構造計画研究所 SendGrid事業責任者の中井さんと弊社 配配メール事業責任者の安藤が登壇し、メールマーケティングのプロたちからメールマーケティングの基本や最新トレンドについて余すことなく語りました!
本記事では、当日のイベント内容をまとめてお伝えします!
イベント前半は、SendGrid事業責任者の中井さんより「これだけは抑えておきたい。メール送信の心得」と題して、受信者のメールボックスにメールを確実に届けるために知っておくべきポイントについてお話しいただきました。
今まで迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうメールとしては、
・スパムメール
・メール本文に迷惑メール判定されやすいキーワードが入っている
といったメールが該当していました。
しかし、現在は企業から配信される普通のメルマガであっても迷惑メールに振り分けられてしまうこともあります。
メールを相手の受信トレイに届けるためには、受信者に“興味関心のある”内容が届けられているかが重要になってきます。
メールマーケティングを実施している方やこれから始めたいと思っている方は、「内容がしっかりしていても相手の受信トレイに届いているとは限らない」ということを認識しておくことが必要です。
配信したメールが受信者のメールサーバに届いてから、どのフォルダに振り分けられるかは、
①送信ドメイン認証(なりすまし防止のための認証)の結果
②GmailやYahooなど受信ボックスを提供している会社によるレピュテーション
で決まります。
確実に相手の受信トレイへメールを届けるためには、レピュテーション(送信者の信用情報のようなもの)を高めることが重要です。
レピュテーションの詳細な評価基準は公開されていませんが、「エンゲージメント」の影響を強く受けるということが分かっています。つまり、エンゲージメントを高めることがレピュテーションを上げることにつながるということです。
メールマーケティングにおけるエンゲージメントというのは、送信側と受信側の関係性のことを指します。受信者が、受け取ったメールに対して、開封/クリックする、返信するなど、そのメールに興味関心があるといえるポジティブな行動を取ればエンゲージメントは高まります。逆に、迷惑メール報告をする、読まずにゴミ箱に捨てるなどのネガティブな行動を取ればエンゲージメントは下がってしまいます。
エンゲージメントを高めるためには、
・開封されやすい時間帯への配信や、タイトル(件名)を工夫する
・クリックされやすいCTAを設置する
・パーソナライズされたメールを配信する
などで対策をすることができます。
開封されやすい時間帯やクリックされやすいCTAのデザインなど一般的に言われているものはありますが、業種やオーディエンスによって最適なものは異なるので自社でしっかりとABテストを行って勝ちパターンを見つけることが重要です。
エンゲージメントは、配信したメールがスパム報告されてしまったり、受信者によって読まずに削除されてしまったりなど、ネガティブな挙動によって下がってしまいます。
エンゲージメントを下げないための対策方法は3つあります。
1つは、リストから無効メールアドレスを減らすことです。
無効なアドレスに配信し続けていると、「リストの管理ができていない」「適正なメール配信ができていない」と判断されてしまいます。
リストクリーニングやダブルオプトイン※を採用して、無効メールアドレスを減らしていくことが大切です。
※ダブルオプトインとは、ユーザーがメルマガの会員登録を行った状態を仮登録とし、登録アドレスに送信されたメール内のURLをクリックして、正式に登録が完了する方式のことです。
2つ目の対策方法は、スパム報告を減らすこと。スパム報告はレピュテーションに深刻な影響を与えます。一度でもスパム報告をされてしまうと、レピュテーションはぐっと下がり危ない送信者と認識されてしまうことも。
スパム報告を減らすための方法はいくつかありますが、簡単に配信停止ができるように設定しておくことが一番効果的な対策です。
理由は、配信停止をしてほしくないという思いで、配信停止方法が不明瞭だったり、煩雑な手順になっていたりすると、スパム報告されやすくなってしまうからです。
配信停止は簡単にできるよう設定し、メール本文でも配信停止できる旨を明示することが大切です。
3つ目の対策は、アクティブでない宛先を減らすこと!
エンゲージメントの高いユーザーと良好な関係を築き上げていくことがレピュテーションを高めることにつながるので、長期間メールの開封/クリックをしていないユーザーはリストから外すことも必要です。
ユーザーの受信トレイにメールを確実に届けるためには、適切なメッセージを適切な対象に適切なタイミング(頻度)で送ることが大切です。
続いて、配配メール事業責任者の安藤より、メールマーケティングで成果を出すためにおさえるべきポイントから最新トレンドについてお話しました!
態度変容を目的としたメールマーケティングでは、メール配信結果の計測が不可欠です。効果測定を行う上で一般的に使われているKPIは以下の5つです。この5つのKPIは、メールを配信してからランディングページ(LP)など目的の場所に到達するまでのプロセスをチェックするものになります。
成果の出るメルマガと出ないメルマガの違いは、リストの量と質どちらを重視しているかということです。「配信母数は多ければ多いほうがいいのではないか」と思う方もいらっしゃると思いますが、自社のサービスや製品に興味関心のない相手にいくらメールを送っても態度変容は望めません。メールマーケティングで成果を上げるのであれば、「質」の高いリストに対してメール配信をすることが大切です。
質の高いリストを作るためには、受信者の興味関心やメルマガ登録した期間などでセグメントし、各リストの属性にあった情報を配信していきましょう。欲しいタイミングで欲しい情報が送られることで、開封/クリック率など各KPIの数値も理想的なものになっていきます。
このようなセグメント配信をしても、時には購読解除が出てしまいます。購読解除する=自社の提供する情報に興味がないため、メールを送り続けたところで態度変容は期待できません。むしろ、自社に興味のない人が購読解除していくことで、そのリストには自社に関心のある人が残るので、自動的に質の高いリストになっていきます。
2つ目の違いは、配信しているメール形式です。
受信者が開封したメールを読むかどうかは7秒間で判断されると言われています。その数秒間で読者の心を掴むには、画像や文字のサイズ・色が変えられるHTMLメールが効果は高いといえます。
いまだにテキストメールで配信している企業の多くは、受信者がHTMLメールを受け取れる環境ではないと認識していることが原因ですが、実際に弊社で受信者の環境を調査したところ、業種別でみても約8割以上がHTMLメール形式でメールを受信していました。
また、メール形式の違いはクリック率にも影響します。テキストメールのテキストリンクとHTMLのボタンリンクでクリック率を比較したところ、後者の方がクリック率は8倍ほど高いという結果でした。
3つめは、メルマガに対する意識の違いです。
「メールマガジン」の「マガジン」部分を意識して、差出人名に「●●通信」、件名には「●●マガジン」などと付けている方、やめましょう。受信者は、メールを開封するかどうかを差出人名や件名を見て判断しています。
開封を促すのであれば、以下の工夫を施すとメールの最終的な結果は高くなる傾向にあります。
・差出人名:担当者名+社名やサービス名
・件名 :本文の内容を具体的に示した内容
4つ目の違いは、配信頻度です。
メルマガの配信頻度が多いと購読解除が増えるのではないかと思うかもしれませんが、弊社の調査では受信者がメルマガを読むタイミングは「たまたま目に入った」時でした。読者のたまたま目に入るタイミングにメールを配信するには、月1~2回の配信では到底リーチできません。
また別の調査では、配信の度にメールを開封した人の4割、本文内のURLをクリックした人の7割以上が入れ替わっていました。つまり、配信頻度を増やすことで、より多くの人にアプローチできるということになります。
最後のポイントは、コンテンツの作り方です。
メルマガは態度変容してもらうためのきっかけづくりにすぎません。また前述の通り、メルマガの閲覧時間は7秒です。伝えたいことを伝えるためには内容を絞り込む必要があります。
では、どのようなコンテンツがいいのか?
メルマガで作りこむべき部分はLPなどへ遷移させるためのリンクと、遷移先の内容を補足した文章のみです。
この時に押さえておくべきポイントは、
・リンクはボタン形式にする
・クリックできることが分かるようなデザインにする
・ボタン上のテキストは「申込をする」「詳細をみる」など具体的な文言にする
これだけで効果はぐっと高まります。
よく時候のあいさつや編集後記を書くのが大変というメルマガ担当者の声をお聞きしますが、受信者は読んでいませんので省いても問題ありません。
また、「どんな内容を配信したらいいか分からない」という声をよく聞きます。配信内容に関しては、
自社の課題をまだ認識していない認知層
⇒課題を顕在化させるようなコンテンツの紹介
例:セミナー案内、ホワイトペーパーなど
すでに導入検討段階にいる決断層
⇒商談でよく聞かれる内容
例:導入事例や他社比較表
を配信すると良いでしょう。
成果の出るメルマガと出ないメルマガの違いについてのポイントをまとめると以下の通りです。メールマーケティングで最終的な成果を求めるのであれば、内容を絞ったHTMLメールで週1~2回ほど配信していくことが大切です。また、リストは量ではなく質を重視し、セグメント分けをしたリストに適切な情報を提供するよう心がけましょう!
最後は、皆さまからいただいたメールマーケティングに関する疑問にお答えしました!
安藤の回答
一般的に統計学上ではサンプル数は400以上必要と言われています。開封率が15%だとしたら、3,000ほどリストがあれば有意差が確認できるでしょう。 また、どれくらいの頻度でABテストをするべきかというのもよく聞かれますが、配信タイミングによっても傾向は変わるので、頻繁に実施する必要はないでしょう。弊社では、毎回ABテストを実施していますが、配信のたびにKPIの数値が大きく変わるようなことはありません。
中井さんの回答
ABテストに必要なサンプルサイズを測ってくれるサイトがあるので利用してみてはいかがでしょうか。
参考サイト:https://www.optimizely.com/sample-size-calculator/
ABテストでの注意点は、一度やったテスト結果を真に受けすぎないことです。その結果がたまたまだった可能性もあります。また、テスト要素はできるだけ1つに絞りましょう。どの要素が原因で数値に変化が出たかが分からなくなってしまっては意味がありません。
安藤の回答
過去に資料請求をした人や失注になった人は、「態度変容」する可能性が高いので、そのリストは大事にした方が良いでしょう。それ以外では、ホワイトペーパーなどの資料ダウンロードした人などを対象にするというのも1つです。
中井さんの回答
どのような手法で集めたリストであっても、レピュテーションにネガティブな影響を与えないために、メールの開封/クリックをしない人は定期的にリストから外していきましょう。
安藤の回答
作りこみすぎるとその後の改善の手間にもなるので、1つのシナリオに対し3~4つ程度が良いでしょう。小さいステップで細かくPDCAを回すのがいいと考えています。 また、ステップメールを作成する上で注意していただきたいのが、受信者が全員1通目を読んでいるとは限らないということです。1通目は見ていないけど、2通目は開封したという人も多くいるので、連続した内容にするのは避けましょう。
安藤の回答
法律的には問題ありません。ただ、態度変容を起こす可能性は低いでしょう。
中井さんの回答
個人的にはおすすめしません。私自身も名刺交換をした企業からメルマガが届くようになった経験がありますが、そういうメールは基本読んでいませんし、時には配信停止する方法がないため迷惑メール報告をしたこともあります。レピュテーションを考えると名刺交換相手をリストに追加するのは避けた方がいいでしょう。
同様に、WEBサイトで公開しているアドレスに対してメールを送るのも良くありません。
それでもリストに追加したいという場合は、何度か送ってみて開封やクリックをしてくれる人はそのままリストに入れて、エンゲージメントがない相手は外していくのがいいかもしれません。
安藤の回答
配信頻度を増やしたことで、購読解除が増えたという話は聞いたことがありません。そこに相関性はあまりなく、それよりも相手の興味関心のあるコンテンツではなかったということがポイントだと思います。
中井さんの回答
配信頻度に関して、お客様に「プリファレンスセンターを作りましょう」とよく言っています。メルマガ登録をする際に、受信者がメール配信内容のカテゴリーと頻度を選択できるようにするというものです。項目を増やすことで作成するメールも増えるので、労力はかかりますが、リソースや時間に余裕がある場合はぜひ実施していただきたいです。
安藤の回答
弊社の場合は、配信速度が落ちることがデメリットです。添付データサイズと配信量が大きくなれば、その分速度は落ちます。また最近は、標的型メールにより資料などが添付されたメールに対して、受信側があまり良い印象を持っていないという点もあるので、その点も考慮した上で添付メールを配信するかどうかは考えるべきだと思います。
中井さんの回答
添付してはいけないというわけではありませんが、マーケティングメールにおいて添付されたメールが送られてくること自体あまりないので、受け手にとっては違和感を持つ人もいるでしょう。
SendGridの一斉配信ツールでは、ファイルは添付できないようになっています。どうしても添付したい場合は、別途アップロードしてURLを本文に記載する必要があります。
ここからは、時間の関係で当日回答しきれなかった質問を一部抜粋し、安藤より回答しましたのでご紹介いたします!
安藤の回答
ウェルカムメールの開封率は非常に高く平均60%ほどあります。初回のメールで読者の心を掴めるかどうかがその後の購読継続率につながりますので、有益な情報やコンテンツを盛り込むことをおすすめします。例えば、BtoCなら次回使えるクーポン券、BtoBなら虎の子の情報が入ったホワイトペーパーなどですね。
安藤の回答
会報のように配信時期が明示されているようなものでもない限り、受信者側は定期配信だとまず認識していないので、どちらでもエンゲージメントは変わらないでしょう。いつ配信するかよりも、配信頻度を高める方が成果は上がります。
安藤の回答
企業として受信者側への「謝罪」が目的で配信するのであれば、必要ないでしょう。ちょっとした誤字などでメールが再送されるのは読者にとっては迷惑です。誤った情報により読者が不利益を受ける、URLや日時・曜日などの間違いの場合のみ訂正メールを配信するようにしましょう。
安藤の回答
gifのサイズが重いと、電車内など通信環境があまり良くない場所ではうまく表示されないため、読み飛ばされてしまう可能性があります。gifを載せる場合は、できるだけサイズを落とし、メール一通のサイズは50KB以下で収まるようにしましょう。
安藤の回答
メルマガはあくまでもランディングページ(LP)までスムーズに誘導するためのものです。CVRにはLPの入力画面からサンクス画面までの遷移率など、メルマガと関係のない要素が入ってしまいますので、一概に申し上げることはできません。
いかがでしたでしょうか?
本イベントのレポートは、SendGridさんのブログでも公開されています!ぜひこちらもご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!