【イベントレポート】メールマーケティングのKPI・PDCAの回し方について研修を実施しました!

【イベントレポート】メールマーケティングのKPI・PDCAの回し方について研修を実施しました!

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2021年7月某日、弊社配配メール事業部 企画課の宮坂が、Twitterでの勉強会開催の呼びかけに応募いただいた株式会社セレブリックス様へ、メールマーケティングについての研修を開催しました。本記事ではその研修内容の一部をご紹介します。

 

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メールマーケティングで観測すべきKPIと目標値

セレブリックス様との事前打合せの中で、セレブリックス様がメルマガ配信に利用しているサービスと、弊社のメールマーケティングサービス「配配メール」では、各種KPIの算出方法に違いがあることがわかりました。

メールマーケティングの各種KPIには目標値がありますが、算出方法が違えば目標値も変わります。そのため、セレブリックス様のチーム内で正しく振り返りができるよう、最初に各種KPIの算出方法や、どのような仕組みにより「メールが届いた/届かなかった」や「メールが開封された/開封されていない」を判断しているのかについてお話しました。

 

メールマーケティングで観測すべきKPIは5つ

メールマーケティングで見るべきKPIは不達率、開封率、反応率、クリック率、購読解除率の5つです。また、それぞれの算出方法や目標値も下の図の通りです。

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メールマーケティングではこの5つのKPIを観測する

これらのKPIはメール配信ツールの管理画面で数値として確認できることが多いですが、その数値がどのように算出されたか?はツールによって異なる可能性があります(例:購読解除率として配信エラーと配信停止の合計値/リスト数が表示されている、など)。利用中のツールの仕様を確認し、目標値と正しく比較できるよう注意しましょう。

メールの不達・開封・クリックの判定の仕組みと計測上の”穴”

メールの不達・開封・クリック数は、計測の仕組み上、正確な値にはなりません。そのため、配信後の各種KPIのごくわずかな変化には一喜一憂しないようにしましょう。

また、今後、個人のプライバシー保護の観点から、メールの開封情報の計測が難しくなることがわかっており、正確な計測・分析はさらに難しくなる見通しです。対策は困難であるため、今後はより一層「計測値が不正確である」という前提を踏まえ各種KPIを観測していく必要があります。とはいえ、判定の仕組みを理解することで、自社のリストがどの程度影響を受けるかの予測は可能になります。そのため、不達・開封・クリックの判定の仕組みを解説します。

 

メールの「不達」の判定の仕組みと計測上の注意点

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「不達」はバウンスメールの受信によって観測できる

メールの「不達」は、メール送信後、配信エラーになった際に、受信側のメールサーバから送られる「バウンスメール」の受信をもって判定します。

バウンスメールというのは、メールを送る際、宛先のメールアドレスを間違えて送信した後に届く、「Mail System Error – Returned Mail」のような件名のメールです。件名・本文ともに英語であることが多いですがGmailで受信すると翻訳されていることもあります。

このような仕組みであるため、下記のような場合に、計測漏れが生じたり、エラー判定が出るまでに時間がかかることがあります。

  • バウンスメールを送らない設定の宛先

バウンスメールを送らない設定をした携帯端末、メールサーバ宛のメールは、メールが届かなかったとしても、バウンスメールを返さないのでエラーと認識できない。

  • 受信速度が遅く、配信後バウンスメールが送られるまでに時間がかかる宛先

受信速度が遅いメーラーではバウンスメールの送信までに最長1週間ほどかかるため、配信直後には「配信成功」と記録されていても、あとから「エラー」に切り替わる可能性がある。

そのため、メールの不達率は、計測値よりも高い可能性があります。

エラーが検出できないメールアドレスもあるため、エラーになると分かったメールアドレスは、次回以降の配信の到達率を下げないよう配信リストから除いていくようにしましょう。

関連記事:メールが届かない!メールマーケティングの代表的なKPI「不達(バウンス)率」とは?

メールの「開封」の判断の仕組みと計測上の注意点

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「開封」はHTMLメール本文内の開封計測用の画像タグが読み込まれることで観測できる

メールマーケティングの5つのKPIのうち、もっとも不安定なのが「開封」です。

メールの「開封」を判断する仕組みで現在一般的なものは、HTMLメール送信時に配信ツール側で本文に「WEBビーコン」と呼ばれる小さな透明な画像を挿入して配信し、メール開封時にその画像タグが読み込まれることで「開封された」と判断する、というものです。この際、開封された時刻やデバイス情報も付随して取得できます。このような仕組みのため、開封を計測できるのは本文への画像の挿入に対応したHTML形式のメールのみで、テキスト形式のメールでは開封を計測することはできません。

本文の画像が読み込まれたら開封とカウントする仕組みのため、下記のような場合に正確な計測ができなくなります。

  • 「画像を非表示」の設定で開封された場合

この場合、画像タグの読み込みが発生しないため、開封を計測できません。

  • テキスト形式のメール本文を受信した場合

マルチパート配信でテキスト形式の本文を表示した場合、HTML本文の画像タグの読み込みが発生しないため、これも計測できません。

  • 転送先の環境でメールを開封した場合

これは画像タグの設定次第ですが、配信リストのメールアドレスと紐づけて設置していることもあり、その場合転送先での開封はメールアドレスが異なる環境での開封となるため計測できません。

  • セキュリティソフトが本文を検閲した場合

送信先の環境によってはセキュリティソフトがメールを開封し、不審なメールでないか検閲することがあります。この際に画像タグが読み込まれ、これを「開封」とカウントしてしまうことがあります。

このようにメールの「開封」の判定は、実態よりも多く見える要因と少なく見える要因が両方存在し、「だいたい」の値であるため、わずかな数値の差を気にするのはナンセンスです。他のKPIについてもいえることですが、特に開封率については、何度か配信する中での大局的な変化に注意を向けるべきでしょう。

関連記事:メールマーケティングの開封率とは?業種別平均値や開封率を上げるコツも紹介

iOS標準のメールアプリから開封データが計測できなくなる

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iOS15ではiOS標準のメールアプリでHTMLメールの閲覧情報の保護を選択できるようになる

6月のApple社の開発者向けイベントで、今後、メールの送信者がメールの開封や、その際の時刻、デバイス、位置情報といった付随する情報を正しく取得できなくなるという発表がありました。

具体的には、iOS15において、「Mail Privacy Protection」をONにしたユーザー宛のHTMLメールは、Appleの匿名化用サーバがメールを開封することで、必ず開封とカウントされ、開封時刻、デバイス、位置情報が不正確になる、とのことです。

例年ではiOSのアップデートは例年9月に実施されているため、最短で9月から、開封率は従来よりも上昇し、開封数を母数として算出する反応率は従来よりも値が小さくなると予想されます。

回避策は見つかっていませんが、受信者のプライバシー保護ための動きですので、メール配信担当者は「こういった仕様になっていくのだ」と受け入れて対応していく必要があります。しかし、悲観することはありません。メールマーケティングでコントロールできるKPIのうち最も重要なクリックの計測は従来通り実施できます。

まず必要な対応としては、「開封」を起点としたシナリオメールの配信といったオートマチックなアクションは配信ターゲットの精度が落ちるため停止し、再設計するようにしましょう。

また、開封データを使った人力のアプローチを取り入れている場合は、読者の受信デバイスがiOSなら不正確なデータ、それ以外なら確からしいデータとして扱うよう心掛けましょう。

関連記事:iOSで開封率が取れなくなる未来に僕らはどう対処すべきか

関連記事:メルマガの開封率の平均は?業界別レポート【2023年版】

メールの「クリック」の判断の仕組みと計測上の注意点

メールの「クリック」の判定は「開封」よりは様々な影響を受けにくいですが、クリック者リストへ架電をする、クリック者にクーポンを送るといった具体的なネクストアクションに用いられることも多いため、100%正しい計測結果ではない点について、広く理解が求められます。

「クリック」の判定の仕組みは、まずメールを配信する際に、本文に挿入されたURLを配信ツールが解析サーバのURLに置換し、配信先のメールアドレス毎に異なるパラメータを付与して配信します。この置換後のURLをクリックすると、まず解析サーバへアクセスが発生し、ただちに本来のURLへ転送(リダイレクト)するといった方法です。

「クリック」が正確に計測できないケースは、主に【セキュリティソフトが本文を検閲した場合】です。そのため、実際のクリック数より多く計測される可能性があります。

ちなみに、セキュリティソフトによる開封・クリックでは、下記のような現象がみられます。

開封・クリック者リストを見ると同じ企業ドメインのメールアドレスがほぼ同時刻に開封・クリックしている

開封・クリック者へ連絡してみると「開封/クリックした覚えがない」と言われる

配配メールではセキュリティソフトと思われるIPアドレスからのアクセスが見つかると、CSとエンジニアが協力してこれらを除去して結果を表示するなど、より正確な値をご覧いただけるよう努力はしていますが、それでも100%除くことは難しいです。ツールによってはこのような調整を行っていない場合もあります。

開封やクリックは実態より多く見える可能性のある数値という点をふまえ、振り返りをしましょう。

関連記事:クリック率を上げるメールマーケティング7つのポイントとは?

メールマーケティングのPDCAの回し方

私たち配配メールのマーケティングチームを含む多くの企業が、メールマーケティングに専任の担当者を置かず、別のミッションを持った社員が兼務で行っています。セレブリックス様でもメルマガを配信するにあたり、まずは兼務でスタートされたとのことで、他の業務を圧迫しないPDCAの回し方を、私たち配配メールの例をもとにお伝えしました。

振り返りの基本的な方法と頻度

メールマーケティングの振り返りはメール1通毎ではなく、一定期間に配信したメールの結果をまとめて確認します。振り返りの頻度は、一度に確認するメールの通数が多くなりすぎないように調整しましょう。配配メールのマーケティングチームは週1回のコラム配信について、月1回、4~5通をまとめて確認しています。

振り返りで見るべき要素とKPIのチェック方法

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不達→開封→クリック→CVの順で確認することでボトルネックを見つけやすくなる

配信結果はリスト・タイミング・コンテンツと各KPIをセットで確認し、KPIはそれぞれ目標値と照らし合わせていきます。

KPIを見る際は、受信者のアクションの上流にあたる不達率から、開封率、クリック率の順に、エラー率が高すぎないか?、開封率・クリック率が低すぎないか?とみていきます。このように見ていくことで、そもそも届いていないのか、開封されていないのか、と要因を切り分けることができます。また、メールの配信目的がCV獲得の場合は、CV数とCV率などの数値も記録していきます。

この記録をしばらく続けることで、「このコンテンツを配信するとCV獲得に繋がりやすいようだ」のような特徴が見つかるので、この仮説を翌月の配信で検証することでPDCAが回り始めます。

振り返りのポイント

メールマーケティングの振り返りで気を付けるべきポイントは下記2点です。

1通の配信結果に一喜一憂しない

メール1通あたりの配信結果には、リスト、タイミング、コンテンツの様々な要素が絡みます。よかった/悪かったの要因がわからないこともあるはずです。そのため、1通の結果だけで何かを判断することは避け、仮説を立てたら検証は複数回実施するようにしましょう。

また、検証をする際には、検証ポイントの他の設定はできるだけそろえて実施できるよう注意しましょう。

関連記事:メルマガ配信の効果を最大化!活用すべきABテストの実施方法

目標を数字に落とし込んで追う

メールマーケティングの目的が「CV獲得」のような、数値で成果が観測できるものは、各種KPIと合わせて確認していきましょう。「サービスの認知拡大」のような、数値で表すことが難しい目標の場合も、何らかの数値に落とし込んで観測を続けることが重要です。たとえばSNSでのサービスへの言及数(UGC)などの観測が必要になることもあります。 この「数字に落とし込む」が難しい場合、まずは開封率を上げることを目標に活動してみましょう。メール配信と配信結果の記録・分析を続けていく中で「この数値が観測に使えそう」とわかることもあります。開封に関する工夫が一通り終わったら、次はクリック率・・という順で検証を続けていく中で、「成果に繋がるパターン」がわかってくると思います。

質疑応答

当日はレポートにまとめた内容の他にも様々な情報のご案内をしており、最後に鋭いご質問をいくつかいただきましたので、質問内容と回答をまとめます。

Q. メールに複数のURLを入れている場合はそれぞれのクリック率を計測するのか?

A. はい。ご認識の通りです。仮に同じURLを何か所かに設置するとしても、メールの上部・下部、ボタン・文字リンクでクリック数が変わってきます。計測したいURLについては1つ1つのクリック数が後からわかるようにしていただくとよいです。

Q. オプトアウトについて。一度配信停止された方がまたセミナー参加・ホワイトペーパーのダウンロードをされた場合はメルマガをまた送ってもいいのか?

A. 「(もう一度)メルマガを受信してもよい」という明確な意思表示があったとわかるような形でフォーム通過があればOKです。たとえばフォームの送信ボタンの手前に「メルマガを受け取る」のチェック項目があり、初期値が入力されておらず、また、チェックを入れなくてもフォーム送信できるような状態であれば、「メルマガを受け取りたい」という申し出と認識できます。そうでない場合、たとえばフォームの送信ボタンの手前にプライバシーポリシーのURLのみ設置されているような案内だと、受信者には承諾した覚えがないかもしれないため、手続き上は再オプトインがとれているように見えますが配信はしないほうがよいでしょう。

Q.メルマガ登録の導線はどのように準備しているか?

A. まずは資料請求フォームやホワイトペーパー、セミナー参加申込などのフォームには、送信ボタンの手前に「ご入力頂いたメールアドレス宛に、広告を含むご案内のメールをお送りする場合があります。」のような文言を差し込んでいます。

他に、配配メールのサービスサイト、メルラボ(オウンドメディア)ではメルマガ登録フォームを公開し、サイト来訪者がメルマガを購読できるようにしています。特にメルラボのメルマガ登録フォームは、サイトトップなどわかりやすいところにバナーを設置し、フローティングCTAを使ってどのページを閲覧していてもメルマガ登録ができるようにしています。

また、メルマガ登録ページと登録完了後のサンクスメールの内容は非常に重要と言われており、特にサンクスメールの開封率は60%以上とも言われるため、しっかり準備することをおすすめします。具体的には、登録ページには登録によりどのような情報が受け取れるかを明示する、サンクスメールには購読の御礼や今後案内する内容の記載、すぐ享受できるメリット(BtoCならクーポン、BtoBなら何らかのノウハウ等)があるとよいと言われています。登録時に購読者の期待にしっかり応えられると、購読解除される確率を抑えられるとのことですので、ぜひ素敵なサンクスメールをご用意いただけたらと思います。

メールマーケティングのノウハウを広める活動をしています

今回はセレブリックス様へ勉強会を開催しましたが、このような活動は今後も少しずつ続けてまいります。個別の勉強会開催以外にも、メルラボでの記事公開、セミナー開催を通して情報発信に努めております。勉強会開催のご希望がございましたら、宮坂(it-sc@rakus.co.jp )宛に、①会社名、②お名前、③ご連絡先、④どのような勉強会を実施してほしいかのご要望 を簡単に記載の上、ご連絡ください。

 

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宮坂夏生

2016年4月ラクスに新卒入社。「配配メール」の非訪問営業担当として年間300社へメールマーケティングを提案し、担当エリアの受注率を5倍に向上。2019年に企画へ異動し、オフライン施策を担当。メールマーケティングエバンジェリストとして、イベントや勉強会開催、SNSでの活動を通じ社内外にメールマーケティングの利活用を広めている。
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