メール配信システムの選定【連載第12回】

メール配信システムの選定【連載第12回】

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メール配信システムの選定

メールマガジンを配信するとなったときに、いきなりシステムの選定から始める企業さまもいらっしゃいますが、それはあまり得策ではありません。 まず、本連載11回までにご紹介した準備をしっかりした上で、自分たちがこれからやろうとしているメールマーケティングにふさわしいシステムを選定するようにしてください。 大前提として知っておいていただきたいのは、「メール配信システムは乗り換えが可能」だということです。 ですから、遠い未来のことまで考えて、身の丈に合わないような高機能・高価格なシステムを導入する必要はありません。 いま想定できている運用に必要十分な機能、いまの自分たちのスキルでも使いこなせるようなシステムを選ぶことをお勧めします。 本記事では、メールマーケティングの習熟度を3段階に分けて、どのようなポイントでシステムを選定すればよいかをご紹介します。

【メールマーケティング初級者】

これからメールマーケティングを始める!という企業さまの場合には、「とにかく無理なく、ミスなく使えればOK」「メール配信に必要な最低限の機能があればOK」と割り切りましょう。 選定のポイントは、以下の五つです。 【1】配信リストの移行が不要であること メール配信で最も気をつかうことの一つは、配信リストの管理です。 できれば、個人情報を扱うことなく、配信したいもの。 そう考えると、初級者の場合は、既存の受注管理システムなどが持っているメール配信機能を使うのがベストです。 メール配信システムの選定【連載第12回】 既存システムにメール配信機能がない/メール配信機能はあるが使い勝手が悪い/メール配信機能はあるが、必要な要件を満たしていない等の場合には、既存システムにオプションで組み込めるようなメール配信システムや、既存システムとのAPI連携が容易にできるようなメール配信システムを選定しましょう。 【2】ユーザーインターフェース 高機能なシステムほど、情報システム部が使うことを想定した管理画面になっていくので、初級者は「とっつきにくい」「触るのが怖い」と感じると思います。 初級者の場合は、「管理画面のメニューの項目が少なくて、わかりやすい」「直感的にわかる」「操作するのに、抵抗を感じない」ということを重視してください。 【3】配信解除機能 「配信解除をご希望の方は、メールでご連絡ください」と記載されたメールマガジンを、いまでもよく見かけますが、これは二つの理由でお勧めできません。 ◆理由1 解除したい人にとって、メールでの連絡はハードルが高いもの。 メールで連絡するくらいなら・・・と、自動的にゴミ箱に直行するように振り分け設定をされてしまったり、最悪の場合、スパムメール設定をされてしまったりしかねません。 そうすると、メールの正しい分析ができなくなったり、メールの到達率が下がったりします。(詳細の説明は、ここでは割愛します。) ◆理由2 メールで解除依頼が届いた場合、人間が手作業で解除処理をすることになります。 これは、メール運用者のモチベーションを大きく下げてしまいます。 「いつどのくらい解除されたのか」を、必要な時以外は知らなくていいような仕組みにしておくことをお勧めします。 上記の理由から、配信解除に関しては、以下のような機能を持つ配信システムがお勧めです。 ◎解除機能A 解除したいメールアドレスを解除フォームに入力し送信すると、確認画面が表示された後、自動的に解除される ◎解除機能B メール内に記載された解除専用URLをクリックすると、確認画面が表示された後、自動的に解除される 逆に、マイページにログインしないと、配信解除できないようなシステムはとても不親切です。(手間がかかるし、お客さまはログイン情報を覚えていないことが多い) また、解除時に、ランダムに表示される数列などメールアドレス以外の入力が必須となっているシステムも不親切です。(手間がかかる) 配信解除機能については、選定時に、実際に操作をしてみて、ストレスなく解除できるかどうか確認してみることをお勧めします。 【4】HTMLメルマガ制作機能 いままでの連載でも触れてきたとおり、昨今ではBtoB企業でも、開封率を取得するなどの理由で、HTML形式のメールマガジンを配信するところが増えてきています。 簡易的なHTMLメールマガジンであれば、プログラマーやデザイナーの手を煩わせなくとも、マーケティング部や広報部が自分で制作できるような編集機能を持っている配信システムがお勧めです。 【5】カスタマーサポートサービス 初級者は、ちょっとしたことでつまずいたり、悩んだりしてしまうものです。 そんなときに気軽に聞けて、すぐに答えてもらえるカスタマーサポートサービスがあるかどうかは、かなり重要です。 メール配信システムの選定【連載第12回】 また、定期的に使い方のレクチャーをしてくれるセミナーを実施していたり、利用者同士で情報交換ができるユーザー会を運営していたりするような配信システムもお勧めです。

【メールマーケティング中級者】

「メールマーケティングを既に数年間運用しているが、もう少しきめの細やかな読者とのコミュニケーションを望んでいる」という企業さまは、上記の初級者向け選定ポイントに加え、以下の五つの機能を持っているかどうかも確認するとよいでしょう。 【1】セグメント配信機能 顧客データベースが持っているお客さまの住所・性別・購入履歴などの項目を指定することによって、配信リストを絞り込める機能です。 絞り込みの操作が、簡単にできるかどうかも、あわせてチェックしましょう。 【2】差し込み機能 顧客データベースが持っているお客さまの会社名・お名前・購入商品などの項目を、メールの件名や本文に差し込むことができる機能です。 特に、BtoBの場合、「From」に営業担当者の氏名・メールアドレスを差し込める機能を持っている配信システムがお勧めです。 【3】分析機能 開封率/クリック率は、ほとんどの配信システムで取得できるはずです。 よりきめ細やかな分析をしたいのであれば、「誰が」開封したか、「誰が」クリックしたか、まで把握できるといいですね。 その他「どんな媒体で読まれているか」など、取得できるデータは多いに越したことはありません。 【4】レポーティング機能 詳細なデータが取得できる配信システムでも、そのデータがただCSVでダウンロードできるというだけでは、あまり活用ができません。 管理画面で、1通ごとのデータや時系列でのデータを、見やすいグラフなどで表示してくれる機能があると、効率的にPDCAを回せるようになります。 【5】権限管理機能 メールマーケティングに力を入れている企業さまであればあるほど、メール配信システムを操作する人も多くなるはずです

例) ◎メール文面を制作する人 ◎メール文面を校正する人 ◎メール文面を承認する人 ◎メールのテスト配信をする人 ◎メールの本配信設定をする人 ◎配信後の分析をする人 等 すべて内製ではなく、外部の力を借りる場合も多くなるでしょう。 このような運用環境下では、メール配信システムの利用者の権限を、

◎メール文面を触れる人 ◎メール文面を見ることはできるけど触れない人 ◎個人情報を触れない人 ◎個人情報を見ることはできるけど、触ることはできない人 ◎個人情報には一切触れない人 等 というように細かく分けておくことにより、不要なミス・事故を防ぐことができます。

【メールマーケティング上級者】

さらにメールマーケティングの活用度合いや企業規模などにより、以下のような点も確認が必要になってきます。 【1】セキュリティ メール配信システムは個人情報を抱えていますので、データの流出や不正アクセスを防ぐような機能があるかどうかも確認しておきましょう。 【2】メール到達率 ASP型のメール配信システムの場合、同じサーバを共有している企業の中にスパムメールを配信している企業が混在していると、IPアドレス自体がブロックされてしまい、メールを配信しても、相手先に届かないということが起こります。 到達率を公開している あるいは 到達率に言及している配信システムなら安心です。 【3】配信スピード BtoB企業ではあまり問題になりませんが、BtoC企業では、配信スピードはビジネスの成否にかかわることもあるほど重要です。 大量のリストにメールを一斉配信する場合、配信スピードが遅いことにより、配信に関わるスタッフが長時間拘束されてしまうばかりではなく、深夜・早朝に配信されてしまうことによるクレームも起こりえます。また、配信先によって情報が届く時間に大きな差がでてしまうことによって、相手に不利益を与えてしまう場合もあります。 大量配信をお考えの企業さまは、必ず配信スピードを選定項目に入れるようにしてください。 【4】稼働率 「メールを配信したいのにサーバがダウンしていて配信できない」となると、ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。 月間稼働率を公表している配信システムなら安心です。 【5】外部システムとの連携 メールマーケティングが高度になればなるほど、SNSとの連携や、アクセス解析システムとの連携などが必要になってきます。 自社がどのようなマーケティング施策を行いたいかにより、外部システムとの連携機能を持っている、またはカスタマイズが可能なシステムを選定することが必要になります。 以上、システム選定時の参考にしていただければ幸いです。 次回は、「配信結果の効果測定・分析」についてお話しします。お楽しみに!
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江島 民子

コンテンツマーケティングの専門会社 株式会社グリーゼ代表取締役。最近は、コンテンツの設計だけではなく、コミュニケーションの設計からお手伝いする案件が増えています。
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