「ほぼ毎日ウェビナー配信中」のBiziblに聞く!告知メールで読者を飽きさせないための工夫とは?
- 【連載】まこりーぬが行く!メールマーケティングの現場に潜入取材!
- 事例/インタビュー
メルラボをご覧のみなさん、こんにちは!ライターのまこりーぬ(@makosaito214)です。連載「まこりーぬが行く!メールマーケティングの現場に潜入取材!」の第15弾をお届けします。
本日はデジタルマーケティングの分析・改善提案自動化ツール「AIアナリスト」を提供する株式会社WACULさんへ取材にやってきました!
WACULさんといえば、「デジタルマーケティングに強い」というイメージをお持ちの方も多いはず。私もかれこれ2年ほどお仕事をご一緒していますが、成果が出る施策・出ない施策をデータにもとづき端的に提言するデジマのプロフェッショナル集団である、とつねづね感じています。
今回は執行役員の松尾龍さんにお時間をいただき、自社のマーケティング活動をどのように進めていらっしゃるのかを伺いました。成果にこだわり、非効率なものは徹底的に排除するWACULさんらしい姿勢をぜひご堪能ください!
株式会社WACUL 執行役員 ビジネス本部 COO 兼 ADグループ部長 松尾 龍 さん
横浜国立大学卒業後、楽天株式会社へ入社、営業・ECコンサルタントのマネージャーを歴任。2015年オンサイト株式会社に入社し、大手食品メーカー・大手化粧品メーカーなどをクライアントとして、ECサイトの基盤構築からブランディング戦略の立案、マーケティング全般支援などを実施。2018年株式会社WACULに参画し、現在は執行役員、ビジネス本部 COOに就任し、ビジネス領域全体を管掌。
まこりーぬ:松尾さん、本日はよろしくお願いいたします!WACULさんは最近「BtoBデジマ診断」を筆頭に、オンラインイベントをよく開催されていますよね。
▲第一回「BtoBデジマ診断」には配配メールが出演
松尾:「BtoBデジマ診断」は今もっとも注力している施策ですね。理由は2つあります。1つはシンプルに、一気にリードを獲得できるから。おかげさまで第一回・第二回ともに500名を超えるご予約をいただきました。昨年主催したオンラインカンファレンスで一度に約2,000件のリードを獲得して以来、動画コンテンツの配信は非常に有効だと感じています。
もう1つは、「WACULはサイト改善だけではなく広告やSEOも支援できます」と広めるためです。「AIアナリスト=サイト分析・改善ツール」というイメージが強すぎて、「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」といった関連サービスがまだ知られていない、あるいはこれらもツールだと勘違いされてしまうことが多いんですよ。
「AIアナリスト」シリーズ
AIアナリストSEO:SEO記事の制作代行・コンサルティング
AIアナリストAD:Web広告の運用代行・コンサルティング
まこりーぬ:なるほど、「AIアナリスト」のインパクトが強烈だからこその課題ですね。こうしたイベント企画を含め、自社のマーケティングはどのような体制でおこなっているのでしょうか?
松尾:よく驚かれるのですが、弊社のマーケティングチームは私を含めて約2.5人しかいません。上記のような大掛かりなイベント企画や展示会出展はマーケチーム主導でおこないますが、通常のセミナー企画やメールコンテンツは各プロダクトチームからどんどん挙がってきます。
弊社はP/Lを追いかけながらデリバリーするプロダクトチームを縦軸、マーケティング・セールスなど顧客獲得を担うチームを横軸に置いた、マトリクス状の組織体制を敷いています。そのためプロダクトチームもマーケティングやセールスの状況をしっかりと把握していますし、顧客獲得チームとすぐに連携できる体制が整っているんですよ。
まこりーぬ:現場から施策のアイデアがどんどん湧いてくるなんて理想的ですね!組織体制の工夫を感じます。
まこりーぬ:自社マーケティングのなかでも、メールの活用方法についてぜひ詳細を教えていただけますか。
松尾:基本的にはハウスリストの掘り起こしを目的に、「セミナー告知」や「機能アップデート」「導入事例紹介」といったコンテンツを週5回ほど一斉配信しています。サービスが増えるにつれて「こういうメールを配信したい」という声が各プロダクトチームから頻繁に挙がるようになり、だいぶ配信頻度が上がってしまいました(笑)。
しかし配配メールさんとの共同研究結果のとおり、配信頻度が高いからといって配信解除率は上がっていません。配信解除されるほど嫌われることって、そんなにないんですよね。
※参考:WACUL・配配メール共同研究「メール送りすぎ?」 という遠慮は不要。メールマーケティングの実態調査
株式会社WACUL 執行役員 ビジネス本部 COO 兼 ADグループ部長 松尾 龍 さん
まこりーぬ:BtoBで週5配信はなかなか多いですね!全社的に「メールをガンガン活用しよう」という空気があるのでしょうか?
松尾:そうですね。なんだかんだ一回メールを配信するだけでセミナー予約はドンと増えますし、「BtoBマーケティングにおいてメールは強いよね」とみんな感じていると思います。
たとえば、Facebook広告を使ってセミナー予約を獲得しようとすると1件あたり数千円から数万円かかるじゃないですか。一方でメールは、1通送れば実質タダで数十件の予約を獲得できる。見込み客と継続的に接触することが欠かせないBtoBマーケティングにおいて、メール以上に効率のいい手段ってありませんよね。もちろん一定のハウスリストは必要ですが。
まこりーぬ:松尾さんの言葉を聞いて、改めてメールの有用性を感じました。ちなみに、週5配信にどれほどの時間をかけていらっしゃるのでしょうか?
松尾:うちはめちゃめちゃ省力化していますよ。配信設定を担うマーケチームの工数なんてほんの数分程度です。
流れとしては、送りたいメールの配信希望日・件名・本文見出し・CTA(ゴール)をおのおの指定のスプレッドシートに記入してもらい、各チームリーダーが参加する営業戦略会議の場で配信スケジュールを確定させます。あとはマーケチームがテンプレに情報を流し込むだけです。
弊社のメールテンプレートはめちゃめちゃシンプルなので、スプレッドシートに記入してもらった内容でメールコンテンツは9割完成しているようなものです。
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まこりーぬ:WACULさんのメールは本当にシンプルですよね。BtoBデジマ診断中に配配メールさんも「ここまで大胆に削っちゃっていいんですか!?」と驚いていらっしゃいました。どのような背景でこのテンプレにたどり着いたのでしょうか。
<株式会社WACULさまのメルマガ>
松尾:セミナー予約などのコンバージョンにつなげるためには、「◯◯セミナー」という件名を見て興味をもち開封してくれた人を、一瞬で予約ページへ誘導するのが定石です。そのために必要なものだけを残し、その他を削ったらこうなりました。実際にこのテンプレを活用するようになってからクリック率は1.2倍ほど上がっています。
うちはよくWebサイト改善においても「ファーストビューにCTAがないとユーザーは離脱する」と発信していますが、ユーザーって驚くほどそのとおりに動くんですよね。
上から順に読み込むことなくパッと見で判断するので、最後までスクロールしないとCTAが出てこないメールでは成果が出ない。読ませれば読ませるほど、アクションから遠ざかっていきます。
まこりーぬ:省力化しながらクリック率が1.2倍とは、インパクトが大きいですね。
松尾:「本文を書き込んだり画像を入れたりしても成果は変わらない」っていうのは共同研究レポートでも提言していることですよね。
恥ずかしながら弊社もこのテンプレを作る以前は、そもそもメールのテンプレがありませんでした。
マーケとプロダクトチーム間で「このセミナー告知メールの本文はこんな感じでいいですか?」と都度確認したり、マーケからデザイナーに依頼を出して新たなバナーを作ってもらったりと、1通のメールを送るのに30分から1時間以上かかっていましたよ。
まこりーぬ:ということは、週3〜5時間ほど工数を削減できていることになりますね。すばらしいです!……でもやっぱり、ここまで大胆に削るのは勇気がいります……!!!
松尾:メールってタダでお試しできるので、ぜひまずは一度やってみてほしいですね。それで成果が伸びた、あるいは変わらないのであれば、取り組む価値があると思いませんか?
まこりーぬ:お、おっしゃるとおりですね(涙)。次回のセミナー告知メールでチャレンジしてみます!
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まこりーぬ:一方で、やってみたけど成果につながらなかったメール施策はありますか?
松尾:細かくセグメントを分けること、ですね。弊社は顧客データを細かく取得していますし、ハウスリストの件数もそこそこあるので、10グループほどセグメントを分けてメールを自動配信できるように設定したことがあったんですよ。まぁ複雑過ぎて、どれがうまくいっているのか結局わかりませんでしたね(苦笑)。
しかもセグメントを分けるとそれぞれにマッチするコンテンツを送りたくなるので、コンテンツ作りに時間がかかり、配信頻度が落ちてしまいます。「結局一斉配信したほうがコンバージョン数が多いよね」という結果に行き着くことがほとんどでした。いい失敗例ですよね。
こうした反省を踏まえて、現在はほとんどのメールをすべてのリードに一気にドンと送っています。DXコンサルティングなど一部の商材でのみ、企業規模やマーケティング予算でセグメントをかける程度です。
まこりーぬ:よかれと思って作ったセグメントが仇(あだ)になってしまったのですね……。
松尾:MAの活用に注力している企業様ほど同じ失敗が多いかもしれませんね。「コンバージョン率3%だったところ、セグメントを分けたことで4%になりました!130%改善です!」みたいなことってよく現場で起きていると思うんですが、「それって本当に成果にインパクトあるんだっけ?」という観点を持つことが重要です。
マーケティングの仕事だけをやっていると、こうした非効率が生まれがちだと感じますね。
まこりーぬ:いままでのお話を踏まえまして、ズバリBtoB企業がメールマーケティングで成果を出すための秘訣はいったいなんでしょうか?
ライター まこりーぬ
松尾:一番は、誰になにをしてほしいのかを端的に伝えることだと思います。メールの受信ボックスに届いたときに「これは自分宛だな」と思える件名になっているかどうか、ぜひ客観的に振り返ってみてほしいですね。
自分が作ったメールを客観的にチェックするって、意外とやっていない人が多いように感じます。受信ボックス上で見ると件名が長くて見切れているとか、スマホで見るとバナーの文字が小さすぎて読めないとか、ダークモードで見ると色が変わってしまいCTAが目立たないとか。
これらは1ユーザーとしてチェックしていれば当然気づけることですが、これらをクリアしているメールは多くありません。
まこりーぬ:たしかに、業務が詰まっている時なんかはついついチェックをサボりがちでした(涙)。
松尾:あとお客様のマーケティングを支援するうえでよく出くわすのは、そもそもメールの配信頻度が少なくて成果が出ていないケースです。コンテンツ作りをがんばっていれば自ずと配信頻度は上がってくるはずなので、結局は自社サービスを広めるために必要なコンテンツはなにかを考えて作り続けるしかないのかな、と思います。
まこりーぬ:ぐ、ぐうの音も出ない一言ッ……!!!
松尾:とはいえ弊社も、一部のセミナーは過去に作ったコンテンツを手をかえ品をかえアレンジしながら継続しているだけですよ。毎回ゼロからガッツリ作り込む必要はありません。
まこりーぬ:核心をつくアドバイス、ありがとうございます!「届けたいコンテンツがたくさんあって配信頻度が上がっちゃいました」というWACULさん状態を目指してがんばります。
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まこりーぬ:最後に、WACULさんがこれからチャレンジしたいメールマーケティングをぜひ教えてください!
松尾:一斉配信メールについては引き続き現在のテンプレを活用しながら、お客様に喜んでもらえるコンテンツを作り続けていきたいと考えています。
一方、我々は「AIアナリスト」に無料登録いただいた企業様のアクティブ率を高めるために、「週次レポート」や「異常検知」を知らせるメールも自動で配信しています。こちらのメールはまだまだ工夫の余地があると感じていますね。
例えば、「最近コンバージョン率がいいですね」とか「検索キーワードが増えていますが、コンテンツSEO始めましたか?」とか。こうしてコミュニケーション量を増やしていけば、お客様からさらに信頼を得られると思うんですよ。
まこりーぬ:まるでBtoCのメールマーケティングのようですね。シナリオはどのように作っていく予定でしょうか?
松尾:弊社はずっと「人間がやって成果が出たものをツールに還元していく」という流れでプロダクトを作ってきました。メールも同じで、コンサルタントがふだんお客様にお伝えしているアドバイスをコンテンツ化して、自動配信していこうと考えています。
まこりーぬ:そうでした、コンサルタントの知見をツールに落とし込むことがWACULさんの成り立ちであり、強みですね。今後の取り組みがどういった成果につながるのか、ぜひまたお話を伺わせてください!
WACUL社のメールマーケティングの裏側
成果にこだわり、非効率なものは徹底的に排除する……というWACULさんのスタンスに触れるたびに
「あぁ、成果につながらない施策に時間をかけている場合じゃない」
と感じているのですが、そう感じ続けて早2年経ってしまいました。まだまだ捨てきれていない業務があり、「知っている」と「行動する」の圧倒的な差を感じます。ここまで読んでくださったみなさん、ぜひ一緒に、アクションしましょう!(涙)
以上、まこりーぬがお届けしました!