配信結果の効果測定・分析【連載第13回】
- 【連載】BtoB企業のための初めてのメールマーケティング講座
- メールマーケティング
前回は、BtoB企業でよく設定される3つの目的をご紹介しました。
今回は、目的別のKPIをご紹介しましょう。
⇒この場合、読者が「製品・サービスへの理解度を深めていっているかどうか」、「購買意欲を高めていっているかどうか」を測ることが重要ですので、商品説明ページや関連資料のダウンロードページ、デモ動画等へのリンクのCTR(クリック率)をKPIにするとよいでしょう。
また、いくらCTR(クリック率)が高くても、母数が少なければ成果にはつながりませんので、二次的なKPIとして「開封率」「配信数」も意識するようにしましょう。
⇒この場合のKPIは、「資料請求」や「問い合わせ」といった具体的なアクションへのCVR(転換率)となります。
ただし、コンバージョンするかどうかはWEBページの作りによるところも大きいので、併せて「資料請求」や「問い合わせ」ページへのCTR(クリック率)をKPIにするとよいでしょう。「資料請求」や「問い合わせ」ページへのクリック率が高いのに、転換率が低い…という場合、「課題はメールにあるのではなく、WEBページにある」ということになります。
また、目的1同様、いくらCVR(転換率)やCTR(クリック率)が高くても、母数が少なければ成果にはつながりませんので、二次的なKPIとして「開封率」「配信数」も意識するようにしましょう。
⇒この場合、「読み続けてもらう」ことが重要ですので、「開封率」をKPIにするとよいでしょう。
目的3の場合、「購読解除率」を気にする企業様もいらっしゃいますが、購読解除は、どんなにいいメールを配信していても、必ず一定数は発生します。むしろ、購読解除をおそれて当たり障りのないメールになってしまう弊害の方が大きいので、「購読解除率」はあまり気にしないほうがよいでしょう。
「開封率」以外にも、読者とのエンゲージメントが確立しているかどうかを測る目安として、CTR(クリック率)をKPIにすることもあります。この場合のクリックは、「資料請求」や「問い合わせ」ページへのようなコンバージョンにつながるリンクでなくても構いません。
目的1~3いずれにおいても「開封率」はKPIのひとつになりますが、「開封率」が計測できるのは、HTML形式のメールだけです。
ところが、制作するリソースやコストが確保できないことも多く、「開封率が取得できない」と悩む企業様も多いようです。
そこで2つの解決策を、ご紹介しましょう。
HTMLメールのごくシンプルな雛形を作り、そこにテキストを流し込むだけにします。
こうすれば毎号の制作コストは、テキストメールを作成するのとほとんど変わりませんし、テキストを流し込む位置だけHTMLソース上にわかりやすく定義してあれば、HTMLがわからない人でも更新することができます。
弊社でも、HTMLを知らないライターが、この方法でオフィシャルメルマガの編集・発行を担当しています。
※弊社オフィシャルメールマガジンの例
http://original-style.com/htmltest/gliese_mail_magazine/glimaga207_0525/glimaga207_0525.html
「開封率」は、毎回計測するのが理想ですが、リソースやコストの問題でそれが難しい場合には、「3通に1回」「四半期に一度」など計測タイミングを決めて、そのときだけHTML形式にしてはいかがでしょうか。
HTML化する回数を減らすことにより、コスト削減が可能になります。
メールマーケティングのセミナーでは、「KPIをどのくらいに設定したらいいですか?」という質問をよくいただきます。
しかし、商品やサービスの特性・価格・お客様の属性・どんなアクションをコンバージョンと設定するかなどにより全く異なりますので、「こうなったら成功」と言える標準的な数値は、実はありません。
そうは言っても、最初は何を目指したらいいのか全くわからないと思いますので、あくまでも「目安」として、弊社の経験値から下記のような数値をお伝えしています。
・開封率:見込み客の場合 5~15%前後、既存客の場合 10~25%前後
・CTR(クリック率):見込み客の場合 1~3%前後、既存客の場合 2~5%前後
・CVR(転換率):低価格品の購入や資料ダウンロードなどハードルの低いアクションをコンバージョンに設定した場合:0.5~2.5%前後
(高額商品の購入やサービスの問い合わせなどハードルの高いアクションをコンバージョンに設定した場合:0.1~1%前後)
幅が広すぎてあまり参考にならないかもしれませんが、まずは上記の数値のうち「どれか」を仮のKPIと設定して、メールマーケティングを実施してみてください。
そして、実施の結果、あまりにも仮のKPIと配信結果がかけ離れていた場合には、KPIを「現在の数値 × 1.5~2倍」くらいに設定し直しましょう。大切なのは、「毎回少しずつ改善されているかどうか」です。
読者とのコミュニケーションがしっかりとれているメールマガジンでは開封率50%超えを記録した例もありますので、「○○%になったからこれでいいだろう」ではなく、「もっと数値を上げていくためには、何をすればいいのか?」を常に考えていくことが重要です。
次回は、準備段階で、「目的」「KPI」以外に決めておかなければならないことについてお伝えします。お楽しみに!