「ほぼ毎日ウェビナー配信中」のBiziblに聞く!告知メールで読者を飽きさせないための工夫とは?
- 【連載】まこりーぬが行く!メールマーケティングの現場に潜入取材!
- 事例/インタビュー
メルラボをご覧のみなさん、こんにちは!ライターのまこりーぬ(@makosaito214)です。連載「まこりーぬが行く!メールマーケティングの現場に潜入取材!」の第8弾をお届けします!
みなさんは「iOS15でメールの開封が取得できなくなる」という話を聞いたことがありますか?個人情報保護の動きが強まるなか、どうやらメールマーケティングにおいてもさまざまな変化が起きているようです。
そこで今回は、メールマーケティングサービス「配配メール」の宮坂さん(@Miya072_hai2)・山盛さん(@ykk935)に海外発の新しい技術やトレンドについて教えてもらいました!メールマーケティングに関わるみなさま、ぜひご覧ください。
まこりーぬ:宮坂さん、山盛さん、本日はよろしくお願いいたします!本題に入る前に一つ質問です。メールマーケティングのトレンドって、いったいどこから生まれているんでしょうか?
宮坂:海外のBtoC企業が最先端でありトレンドを作っていますね。細やかなセグメントで良いコンテンツを高頻度で届けている企業が多く存在します。私たちはそういった企業のメルマガを実際に購読して、スクリーンショットを撮り溜めながら「あぁこういう工夫をしているんだな」と学んでいます。
山盛:あとは海外のメール配信に関わるサービスを提供されている企業のメディアの記事やホワイトペーパーをチェックすることもありますね。こうして得た最新情報は毎週社内で開催している「トレンドリサーチミーティング」でチームメンバーに共有し、ときには自社で実践してみることもあります。今日ご紹介するトピックスも、このミーティングで話題に出たものです。
まこりーぬ:トレンドリサーチミーティング、メールマーケティングのプロとしての意気込みが伝わってくる取り組みですね!ちなみに、実際に海外BtoC発で日本へ広まったトレンドはどんなものがありますか?
宮坂:GIFの活用は代表例だと思います。海外では昔からよく活用されていて、私が入社した2016年時点でも配配メールではGIFの活用を推していました。最近は国内のBtoC企業はもちろん、BtoB企業のメールでも見かけるようになりました。BtoB企業におけるGIF活用については、以前取材協力いただいたベーシックさんのように、セミナー告知メールなどに活用すると非常に有効です。
まこりーぬ:GIFの活用を広めたのはまさに配配メールのみなさんではないでしょうか(笑)。本日ご紹介いただくトピックスも数年後には当たり前になっているかもしれませんね。早速本題に入っていきましょう!
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まこりーぬ:はじめに、最も気になっている「iOS15問題」についてぜひ教えてください。正直なところ詳細まできちんと把握できておらず……(涙)。
宮坂:iOS15には「メールプライバシー保護」という機能があり、デフォルトでONになっています。その状態かつApple純正のメールアプリでメールを開くと、開封したかどうかを取得できません。メール配信側ではすべて「開封した」判定になるため、「管理画面上で開封率が上がる」という現象が起きます。
山盛:どれほど開封率にインパクトがあるのかは、自社の配信リストにどれほどiOS15×純正メールアプリユーザーが含まれるかに寄ります。たとえば弊社の場合では、iOS15リリース前後で2%ほど開封率が上昇しており、開封者のうち1割程度がiOSユーザーでした。弊社はBtoB企業で、保有リストのうちほとんどの方がPCでメールを閲覧するためこれくらいの影響度合いですが、BtoC企業であればもっとスマホでメールをチェックする方が多いはずなので、さらに影響が出るのではないかと思います。また、調査によると2021年11月時点のiOS15適用率は約35%なので、まだしばらくは変動するでしょうね。
株式会社ラクス 配配メール事業部 企画課 山盛
まこりーぬ:なるほど、私はiOS15ですがGmailアプリを使っているのでビックリ対象外でした。個人情報保護の観点から、今後はiOS以外でもこうした動きが強まりそうでしょうか?
宮坂:はい、他社も追従する可能性はおおいにあります。開封数や開封率がより実態から離れた数値になってしまいますが、iOS15がリリースされる前の数値も厳密に正確だったわけではありません(※)。開封率は絶対値ではなく、前回配信からの変化を把握するものと思って見れば、引き続き指標の1つとして参考になると思います。
※テキストメールで受信した場合やHTMLメールの画像を非表示にしている場合は、そもそも開封しても開封数としてカウントされていない、迷惑メール対策のセキュリティソフトによる開封も開封数にカウントされるなど・・・
ただ、忘れてはならないのは、メールマーケティングにおいて重要なのは購買や商談につなげること、すなわち態度変容を起こすことです。開封よりもクリックに着目して改善を進めることがおすすめですね。
まこりーぬ:たしかにそうですね。クリックをしっかり追っていきます!
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まこりーぬ:続いて最近「絵文字つきの件名」をたまに見かけます。これは流行ってきていますか?
宮坂:海外のメルマガではよく活用されていて、最近では国内のメルマガでも見かけるようになりましたね。「絵文字が入っているほうが開封率が高くなる」といったポジティブな調査結果もありますが、弊社としては強くおすすめはしていません。特に「受信ボックス上で目立たせたい」という意図で絵文字を使うのは要注意です。
▼開封率が上がる絵文字
https://digital.returnpath.com/wp-content/uploads/main/2018/02/Emoji-Report.pdf
宮坂:絵文字はよくも悪くも親近感が湧く表現なので、10代向けアパレルならマッチしても、ハイブランドが使ってしまうとイメージを壊してしまう可能性があります。また、その絵文字からなにを読み取るかは読み手次第なので、意図せず嫌な感情を持たれてしまうリスクもあるんですよね。
まこりーぬ:絵文字って誰が使うかによっても受ける印象が変わりますしね(涙)。使う際は慎重に、ですね!
まこりーぬ:私が思い浮かぶトレンドは早くも尽きてしまいました……。ここからはぜひお二人がキャッチされている最新情報を教えてください!
山盛:まずは身近なものからご紹介すると、「ダークモード」に対応したメールデザインの重要性が高まっています。海外のアンケート調査ではありますが、2020年3月時点の調査では約8割のユーザーがダークモード表示にしているという結果も出ていました。実際に弊社にてダークモードでも読者が読みやすいデザインしたメールを作成し、A/Bテストを実施したところ、ダークモード対応したメールのほうがクリック率が上がりました。
非常に細かい調整にはなるのですが、ダークモード下で見ても「見やすい」「読みやすい」「目に優しい」を意識しました。具体的に変更した点としては、文字色と強調色、CTAの色になります。
▼配配メールで送っているメルマガ
▼メーラー別対応状況
メーラー | ダークモード下での見え方 |
Apple Mail(iPhone/iPad/MacOS) | 完全反転 |
Outlook(Windows) | 完全反転 |
Gmail(Android) | 完全反転 |
Outlook(iOS/MacOS) | 部分反転 |
Outlook.com | 部分反転 |
Gmail | 反転しない |
AOL | 反転しない |
Yahoo! | 反転しない |
https://www.emailonacid.com/blog/article/email-development/dark-mode-for-email/
▼見え方
https://www.litmus.com/blog/the-ultimate-guide-to-dark-mode-for-email-marketers/
まこりーぬ:マジですか……私はいままでダークモード使ったことがなかったのでカルチャーショックです。ダークモードに切り替えます(涙)。
山盛:実は私もダークモード利用者ではないんですが(笑)、A/Bテストの結果を見て、多くの人がダークモードを使っている前提でメールのデザインを作る必要があると感じましたね。
山盛:ここからはまだ海外でも普及していない最新技術を2つ紹介します。1つめは動的なメールを配信できる技術「AMP for Email」です。メール開封時点の最新の情報を表示させたり、メール本文から直接商品購入できたりするなど、メールをWebぺージそのもののように見せることができます。
まこりーぬ:なんと、なにやらめちゃくちゃよさげな技術ではないですか!
山盛:そうですよね。ただし現時点では表示できるメーラーが限られること、コーディングの知識がないとメール作成が難しいことを踏まえると、普及にはまだまだ時間がかかると思います。「カウントダウンタイマー」などパーツのみ作成できるサービスは既に出てきているので、部分的に取り入れられていくかもしれません。
▼海外のカウントダウンタイマーが差し込めるツール
まこりーぬ:AMPメール、めちゃめちゃコンバージョン率上がりそうですね。作る側も受信する側も一般化するのが待ち遠しいです!メール作成の業務は増えそうですが!(涙)
宮坂:最後にご紹介するのは2020年8月頃に運用開始された「BIMI認証」です。この認証を済ませると受信ボックス上でメールに企業ロゴを表示することができます。なりすまし防止やロゴの認知向上といった効果が期待できる技術ですね。
▼イメージ
まこりーぬ:なんと、これまためちゃくちゃよさげな技術ではないですか!
ライター まこりーぬ
宮坂:弊社でも「ぜひやってみたい!」と話題になったのですが、実は認証を得るのが結構大変でして、いったんは保留中です。SPFなど既存のなりすまし防止対策をすべて完了させた上でライセンスを購入する必要があり、年間十数万円の費用が発生します。しかもAMP for Email同様、こちらも表示されるメーラーが限られているんですよ。
まこりーぬ:おおお……それはなんとも今すぐには広まらなそうですね……!
山盛:そうですね、いまの条件だとなかなか広まらないと思います。ただ、今後迷惑メールを取り締まる規制が強まれば一気に広まるかもしれません。また、BIMI認証済みの企業が増えてくれば、「ロゴが表示されていないメール=怪しいメール」と認識されて、どんなにいい件名をつけても開封されにくくなると思います。そうなるとどの企業も取り入れていくでしょうね。
まこりーぬ:たしかに、法律に後押しされて大手企業から順に導入し、中小企業も追従するような未来が見えますね……。
宮坂:迷惑メールの規制はメールマーケティングを広める我々にとっては追い風なので、ぜひ強まっていってほしいですね。メルマガと聞くと「スパムでしょ」「もらっても嬉しくない」というイメージをもっている方もいまだ多くいらっしゃいます。迷惑メールが撲滅され、メールマーケティングの考え方が広まることで、メールにネガティブな印象をお持ちの方にも有益な情報ばかりが届くように変わっていくと嬉しいです。
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まこりーぬ:さまざまな最新情報を教えていただきありがとうございました!最後に、法や技術が進化してもこれだけは変わらない、というメールマーケティングの成功ポイントを教えていただけないでしょうか?
宮坂:配配メールがお客様へいつもお伝えしている「最適なタイミング」「良いコンテンツ」「リストの質」はやはり普遍的な成功ポイントだと考えます。特に見落とされがちなのは「リストの質」です。たとえば、オンライン展示会で獲得したリストとサービスへ問い合わせてくれた人のリストであれば当然反応が変わるはずなのに、その観点が抜けたまま開封率やクリック率、購読解除率を同列に評価して、一喜一憂されているケースが多いように感じます。
この配信リストはどんなお客様群なのかをしっかりと把握できれば、当然届けるべき情報が変わることにも気づくはずです。ぜひメールマーケティングを担当される方には「どんなリストなのか」をしっかり意識いただけると嬉しいですね。
獲得経路によっては購読解除数も一定数出てしまうと思いますが、購読解除する方はもう自社が発信する情報を必要としていない方がほとんどで、その後態度変容する可能性も低い層です。一方で、配信可能なリストには、自社が発信する情報に興味があり、今後態度変容しやすい層が残っているため、リストの質はどんどん高くなります。こうした「リストエイジング」の考え方を弊社ではよくお客様にお伝えしています。購読解除は恐れるものではなく、リストの質を高めるために重要なフローだと考えていただくと良いかと思います。
株式会社ラクス 配配メール事業部 企画課 宮坂
まこりーぬ:たしかにそこまで細かくリストを分けていませんでした……。この機にしっかり見直していきます!ちなみに、配配メールではすでに配信時間を自動化できるメモリー配信機能(※)がついていますよね。技術が進化すれば自動化できる領域が広がりそうですが、最終的に人が介在し続ける部分はどこだと思われますか?
※顧客が前回メールを開封した時間に合わせて配信時間を個別最適化してくれる機能
山盛:仮に将来自動化や機械学習が進んでも、「誰になにを届けると態度変容が起こるのか」を考えて素材を作る部分は人間がやり続ける必要があるのではないないかなと考えています。お客様の声を聞いたりコンテンツを作ったりと、地道な動きは変わらず求められるのではないかと思います。
宮坂:わたしも同意見です。あとリストは自動では集めてこれないので、リスト作りも変わらず必要だと思いますね。まだまだ実現は先の話になりそうですが、配配メールは「もっと効果的に。もっとラクに。」というコンセプトのもと、究極リストとコンテンツさえあればメールマーケティングで成果が出せるプロダクトを目指そうとしています。
まこりーぬ:10年後、配配メールはいったいどんなプロダクトになっているんでしょうね。お二人とも、本日はありがとうございました!
メールマーケティングの2021最新トピックス5選
聞いたことのないお話ばかりで、とってもワクワクした取材でした!こうした最新情報はキャッチアップして取り入れていくことも重要ですが、それ以上に、その技術が進化している時代背景を知ることに非常に意味があると感じます。
メールマーケティングにおいては、やはり個人情報保護の潮流を汲み取る必要があります。中長期的に見ると「自社に興味を持ってくれているユーザーのリストをどれだけ自前で獲得できるのか」が成功の鍵を握りそうですね。
以上、まこりーぬがお届けしました!