メール配信システムの選定【連載第12回】
- 【連載】BtoB企業のための初めてのメールマーケティング講座
- メールマーケティング
本連載の最後に「メール配信結果の効果測定・分析」のやり方をご紹介しておきましょう。
まず知っておいていただきたいのは、「多くのBtoB企業では、そもそも効果測定・分析をやっていない」という事実です。つまり、「出しっぱなし」ということですね。出すことに追われて、振り返りにまで手が回っていない企業がほとんどです。ですから、あれこれと欲張らず、まずは「できることから少しずつ」と考えましょう。
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まずは「何を分析するのか?」=「何を知りたいのか?」から考えましょう。
メールの分析対象としては、以下のような項目が考えられます。
【開封率に関して】
1:どんな件名が開封されやすいのか
2:どんな差出人名が開封されやすいのか
3:何曜日配信が開封されやすいのか
4:何時配信が開封されやすいのか
5:何日配信が開封されやすいのか
6:どのような間隔で配信したとき開封されやすいのか
【クリック率に関して】
7:どの位置のURLがクリックされるのか
8:どんなリンク先がよくクリックされるのか
9:どんなコピーで誘導したときによくクリックされるのか
10:どんな属性の人がよくクリックしているのか 等
本格的には、1~2年間メール配信を運用して、慣れてきてから「A/Bテスト」を実施して分析していったほうがいいので、まずは、シンプルに、以下から始めるとよいでしょう。
目的:自社のお客さまの傾向を知る
手段:どんな件名が開封されやすいのか を検証
「自社のお客さまの傾向を知る」ために「管理表」を作成しましょう。
メール配信システムで1通ごとのデータはとれますが、時系列でレポーティングする機能を持ったものは少ないようです。
メール配信システムから取得できるデータを元に、以下のような表を作成し、「メール配信終了後○○日」という期間を決めて、その期間の数値を必ず管理表に転記していくという運用にしましょう。
「○○日」の部分は、3日~7日に設定されている企業が多いようです。
▼管理表のフォーマット例(1)
このように時系列に件名と開封率を記録していくことから始めましょう。
配信曜日や時間、配信対象や差出人名などは、今回の分析対象ではありませんが、記録し続けているうちに傾向が見えてくる場合もありますし、いずれ分析することもあるかもしれませんので、書いておくとよいでしょう。
この表で最も大切なのは、色を塗ってある「誘導先」と「テーマ」の部分です。
なぜこの2つの項目が重要なのかというと、この表を作った管理者は
を知りたいと考えているからです。
このような場合には、「メール本文」ではなく「件名から伝わることだけ」をこの欄に書いていきましょう。
例)いちばん下の行の「○○様 AI×セキュリティで何が変わるのか?」は、どこに誘導しようとしているか、件名だけではわからないので、「誘導先」を「不明確」としています。
ある程度記録がとれてきたら、時系列にグラフを作ってみるとよいでしょう。
▼➀誘導先と開封率の関連を検証するグラフ
▼②テーマと開封率の関連を検証するグラフ
➀のグラフからは、
「お客さまは、セミナーやイベントより、デモのほうが興味があるのではないか?」という仮説が成り立ちます。
②のグラフからは、
「お客さまは、AIという言葉に反応しやすいのではないか?」という仮説が成り立ちます。
2~3カ月に1回くらいのペースで、このような分析を行っている企業さまが多いようです。
この段階では、この程度の仮説が立てられれば十分です。
1年くらい運用していくうちに、「うちのお客さまは、こういう誘導先、こういうテーマのときには、ほぼ確実に開封率が高くなる」と明言できるようになるでしょう。
管理表のフォーマット例(1)では、件名に含まれている「誘導先」「テーマ」と開封率の関連を検証しましたが、他にもいくつか検証のやり方があります。
ここでは、そのうちの2つをご紹介しておきましょう。
▼管理表のフォーマット例(2)
▼③対象者と開封率の関連を検証するグラフ
この表を作った管理者は、
を知りたいと考えています。
③のグラフからは、
「情シスの方が多いのではないか?」という仮説が成り立ちます。
▼管理表のフォーマット例(3)
▼④コピーの書き方と開封率の関連を検証するグラフ
この表を作った管理者は、
を知りたいと考えています。
④のグラフからは、
「One to One型が最も開封されやすいのではないか?」という仮説が成り立ちます。
このように検証の切り口はいくつもありますので、まずは「自分は何を知りたいのか?」を明確にすることから始めてみましょう。
本連載は、今回が最後になります。また新しい連載でお目にかかりましょう。お楽しみに!
※本記事で使用しているデータや仮説は、すべて「仮」のものです。実データに基づくものではありません。
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