メール営業には緻密さが求められる

メール営業には緻密さが求められる

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メールを送れば簡単に反響があったのは昔の話。今は緻密に考えて送らないと、相手に一瞬で「一斉送信だ。読まなくていいな」と思われてしまいます。受信者たちは、ちょっとした違和感から瞬時に判断しています。今回は、メール営業の緻密さについて解説します。

メールは必ず読まれている

コロナ禍で、わらにもすがりたい気持ちでメール営業を始めた企業もあるでしょう。私のところにも「過去に名刺交換した相手にメールを送ってもいいのですか?」「メールを送るなら、どんな送り方がいいでしょうか?」といった質問がきます。

これから始める人ではなく、すでにメールを送っている人からの相談もあります。「メールの反応が急激に落ちました。どうしたらいいですか?」「メールを開封してもらえません。なぜでしょうか?」という二つの相談は増えています。

メールを、ダイレクトメールとして送っているのか、コミュニケーションとして送っているのか、どちらの路線をとるかで大きく変わります。ダイレクトメールとして送っているなら、いかに目立つ件名を付けるか、開封させるかが争点になります。目立たせようとして、件名に■★◆などの記号を使うこともあるでしょう。確かに目立つのですが、瞬時に一斉送信だと伝わり、開封されません。当然、読まれることもないでしょう。

前提として、人は全てのメールを認識しています。封書のダイレクトメールを例に考えてみましょう。封を切るかは「誰からの、どんな用件か」によって決まります。請求書在中と書いてあれば請求書が入っていると分かるので、封を切ります。行政機関からの通達であれば、確認しないと不利益を生じそうなので、封を切ります。

ここで、見知らぬ企業から封書が届いたら、どうしますか。開封せずに捨てるのは危険です。まずは開封して必要性を判断するでしょう。封筒の中に入っているのが、ある製品の告知だったらどうでしょう。興味がなければ「不要な手紙を送る会社だ」と認識します。

数カ月後、この企業から封書がまた届いたら、どうしますか。前回は不要な手紙だったけど、今回も不要かは分からない。そうなると、開封して判断することになります。そこでまた不要な情報だったら、この企業名や同じようなデザインの封筒は開封する必要がないと学習します。

受け手は必要か必要でないかを、このように学習しているのです。ダイレクトメールの企業名や封筒などにあたるのが、メールの差出人や件名です。何度も届くメールを見ているうちに学習して、それらのメールを見分けられるようになります。

営業メールを見分ける方法

先日、私のメール営業研修を受講された、ある社長と、どのようなメールは開封しないか、途中で読むのを止めるか、という話になりました。該当するメールの特徴と、その理由は次の通りです。

件名が営業的なもの

件名に記号が入っていたり「40%OFF」「先着」「今だけ」のような情報が入っていたりする場合、一斉送信のダイレクトメールだと認識します。広告のようなので、その企業に興味がなければ開封する必要を感じません。ただ、このような情報が取引先から届いたら、知らないと不利益が生じるかもしれないので確認する傾向があります。

本文の冒頭に営業言葉

「突然のご連絡失礼いたします」「メールでのご連絡申し訳ありません」のように、お詫びから入るのは営業メールに見られる特徴です。この言葉だけでは判断がつかないので、少し先まで読みますが、営業だと判断した時点で読むのを止めます。

関係性が曖昧

「ホームページを拝見し、お役に立てるのではないかと思いメールしました」「ホームページを拝見し、ご連絡しております」このような文言があると、機械的な印象を受けます。最近はこのようなメールが本当に多いので、この言葉を見つけた瞬間に「ホームページは見ていませんが、リストがあったので機械的に送っています」のように脳内変換して読んでいます。

ちなみに、私の会社は10年ほど前までは「有限会社アイ・コミュニケーション」でした、それが今では「株式会社アイ・コミュニケーション」と商号変更しています。でも、先日も有限会社宛てに「ホームページを拝見し~~」と書いたメールが届いたので、思わず笑ってしまいました。相手のことをしっかり確認し、役立てる根拠を書くべきですね。

日程の候補日が複数書かれている

会うとは決めていないのに、面談の候補日が10くらい書かれているメールを受け取ることがあります。資料請求されての対応といった場合は、候補日を提示することもあるでしょう。相手は興味を示しているからです。でも、相手の興味や関心があるか分からない状態で、こちらから一方的に営業するなら、まずは会いたいと思ってもらうことをゴールにすべきです。

この4点に関しては、他の経営者と話していても一致することが多いです。

効率を上げるために日々、目を鍛えている

私のところには、毎日300通くらいメールが届きます。さまざまな種類のメールです。メールを「迷惑メール」「不要な営業メール」「メルマガ」「個別メール」と4つのタイプに分けるなら、まずは個別メールとして認識されることを目指すべきです。

人は効率を上げるため、過去の学習結果を生かします。私は3秒あれば「このメールは迷惑メールか、不要な営業メールか、必要なメールか」を判断できます。毎日たくさんのメールを受け取っている人は、同じような傾向があると思います。

個別に送っているメールに見せるためには工夫が必要です。ある程度はコピー・アンド・ペーストでも対応できますが、完全に同一のメールを送れるのは同じような業種業態だけ。どこかに違和感が生まれ、文章の整合性がなくなります。それを避けるために「ホームページを拝見し~~」のような抽象的な表現を使っていることに、受信者も慣れています。結果的には、一通一通コピー・アンド・ペーストしてでも一部をリライトしてメールを書く。それしか、うまくいく方法はないといえます。

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平野友朗

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。実践塾シェアクラブ 主宰。 1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、メルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育・改善の第一人者として知られ、メールコミュニケーションの専門家。メールに関するメディア掲載1500回以上、著書32冊。メールを活用した営業手法には定評があり、メールやメルマガなどを駆使して1万社以上の顧客を開拓。メールのスキルアップ指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などに数多く携わる。官公庁、企業、団体、学校での講演や研修、コンサルティングは年間150回を超える。日本初のビジネスメール教育事業や検定試験を立ち上げるなど、ビジネスメール教育の普及に尽力している。
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