メール営業のポイント【連載最終回】

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メールのスキルを高めれば、営業の成果につながる。営業メールのレベルが上がれば、成績が上がる。よいメールを送ることは、送り手のメリットだけでなく、受け手にとってもメリットがあります。メール活用の一助となれたらいい。そんな思いから始めた連載も、今回が最終回です。コロナ禍でメールを使う機会は増え、活用に向けた関心がますます高まっています。そこで今回は、これまでにお伝えした内容を振り返り、復習も兼ねてメール営業のポイントについて解説します。

 

普通のメールで十分

「メールで営業する」というと身構えてしまう人が多いようです。「文章を書くのが苦手だ」「相手の反応が見えないから難しい」という声も耳にします。「文章力がないと伝わらない」「強いクロージングの言葉が必要だ」といった誤解をしている人が少なくありません。営業メールだからといって特別なことは必要ありません。クロージングの言葉も「多数のお問い合わせをいただいており、今週中には完売となることが予想されます。つきましては、お早目にお決めいただければ幸いです」くらいの表現で十分でしょう。

ビジネスメールには型があります。本文は「宛名」「挨拶」「名乗り」「要旨」「詳細」「結びの挨拶」「署名」の七つの要素で構成されます。この型を守って書くことで、読み手に信頼感を与えます。「きちんとしたメールが書ける人だ」という印象は評価につながります。誰もが「信頼できる人と取引したい」と考えます。メールは信頼感を与える材料にもなり得るのです。

「宛名」

相手の名前を書く。名前を間違えないように、コピー・アンド・ペーストする。会社名、部署名は、関係性を見て外しても問題ありません。

「挨拶」

社外の人には「お世話になっております」、社内の人には「お疲れ様です」が一般的です。お世話になっている頻度や程度が高ければ「いつも」や「大変」をつけたり、初めてメールを送るときは「お世話になります」にしたり、場面によって書き分けることもできます。

「名乗り」

会社名、名前を書いて、メールの送信者がどこの誰かを伝えます。相手が覚えていない可能性があるなら「~~で名刺交換した○○です」のように面識があることや関係性を伝えます。

「要旨」

メールを送った目的、テーマ、全体像などを伝えます。

「詳細」

情報の抜けもれがないように注意して伝えます。相手が知りたいことを予測して盛り込みます。

「結びの挨拶」

「よろしくお願いいたします」を基本として、メールを送る目的を強調したいときは「ご確認」「ご検討」といった言葉をつけます。

「署名」

メール以外の連絡手段を使いたいときに、その連絡先を確認できるよう、名刺に書いてあるのと同じ程度の情報を記載します。

人は、あると思っているものがないと違和感を覚えます。そうした違和感が、相手への信頼を左右し、印象を決めます。メールで名乗らなくても、書いてあることは伝わるでしょう。でも「誰からのメールだろう」と思った受信者は送信者名や署名を確認することになり、ストレスを覚える可能性があります。「名乗らないなんて失礼だな」と思うかもしれません。違和感を与えればコミュニケーションに支障をきたします。まずは型にしたがい、違和感を与えないこと。そのうえで、相手や関係性に応じて調整することが大切です。

コピペメールは厳禁

私のもとには毎日のように営業メールが届きます。多くの営業メールに触れていると、共通する法則が見えてきます。たとえば、営業メールには「突然のメールにて失礼します」のような失礼を詫びる言葉が書かれていたり、「貴社ウェブサイトを拝見し、お役に立てるのではないかと思い~~」といった言葉が続いたりします。そうした言葉自体に問題はありません。ただし、注意が必要です。

通常のメールは「突然~~」のような言葉で書き出さないので、見た瞬間に「営業メールっぽいな」という印象を与えます。読み進めて「これは営業メールだ」と認識することが繰り返されたら、受信者は学習して「突然~~」という言葉を見ただけで「営業メールだ」と判断するのです。その言葉を見たら読むのをやめることもあるでしょう。

「貴社ウェブサイトを~~」と書いてあるけれど、メールを読んでも多くの企業に当てはまることしか書いてなければ「うちのウェブサイトを本当に見ているのかな」と思うでしょう。これに慣れたら冒頭の言葉を見ただけで「ウェブサイトは見ていないな。他の会社にも同じようなメールを送っているんだろう」と判断されます。そうなれば、返事がくることもないでしょう。

私が代表理事を務める一般社団法人日本ビジネスメール協会が運営している「ビジネスメールの教科書」というウェブサイトでは、メールの文例を紹介しています。文例は、多くの人にとって使い勝手のいい物にするため、表現は抽象的になりがちです。だから、文例集やテンプレート集を参考にするときは、最低限のアレンジが必要です。手直しせずに使える場面は少ないため、そのまま使えば「コピー・アンド・ペーストしているだけだな」と感じる人もいます。そのことから「こちらのことは考えていない」「考えなしに送っているメールだな」とまで思うかもしれません。

抽象度が高い表現は、誰もが該当します。その使い勝手のよさから重宝されます。しかし、営業を受ける側は、そのような表現に慣れているので、具体性に欠けるメールには返事をする理由がありません。「読まなくてもいいメールだ」「迷惑なメールだ」と思えば、無視をしてもいい理由になります。

違和感を持たれることがないように、相手のことを調べて書く。役に立てると思うなら、その根拠や、どのような場面で役に立てるのかを具体的に書きましょう。

タイミングが命

メールは時間が経つと劣化します。商談後のお礼メールが、1週間後に届いたらどうでしょうか。「仕事が遅いな」「実はやりたくないのかな」というネガティブな印象を抱きませんか。少なくとも評価が上がることはないでしょう。一方、同じ内容で、当日の夕方に届いたらどうでしょうか。「仕事が早いな」「積極的だ」「前向きだな」とポジティブな印象を持つのではないでしょうか。

このように送るタイミングによって、メールの印象は変化します。書いてあること以前に、タイミングが印象を左右します。文章が苦手であっても、スピード感をもってメールを使えば補えます。時間が経つほど書いてあることに厳しい目が向けられるでしょう。

営業ができる人は、この法則を理解しています。だから、スピード感を軽んじません。同じ労力を使うなら、最大の効果が期待できるタイミングを逃さないよう、常にスピード感のある仕事をしています。極論に聞こえるかもしれませんが、多少の誤字があっても対応が早ければ、許されることも多いのです。

営業は接触回数で勝負

メールを送っても返事がこない。そんなとき、いつまで、どこまでフォローしたらいいのでしょうか。早々に見切りをつける。それも一つの判断です。しかし、そう簡単には、見込みがないと諦めることはできないのが営業です。企業研修では、この質問が実に多いのです。「返事がこないのはつらい」「見込みがあるか分からないのにフォローするのは大変」「時間が足りない」といった声も聞こえます。

私はいつも「相手から『メールでの連絡は不要』と言われるまで」と答えています。皆さん、多少落胆されるようですが、これが答えです。継続的なフォローができる人は、確実に売上につなげています。

お客さまのニーズは、いつ発生するか分かりません。今は「要らない」といった人が、1年後、急にほしくなることもあります。相手の行動や心理を読み切ることができないからこそ、継続して接触することが重要です。フォローを止めたら、たまたま飛び込みで来た人に発注されてしまう可能性もあるのです。

相手が不快にならない、一般的なルールを守ったメールを送り続けましょう。相手にとって不要なメールを送り続けるのは、スパムメールを送るようなもの。それは避けなければなりません。どのようなメールだったら相手の役に立てるのか。相手が迷惑に感じないメールとは何か。それを考え続けるしかありません。ライバルが5回メールを送るなら、あなたは6回送ればいいのです。継続してフォローを続けた先に、受注が待っています。

最後のご挨拶

今までお読みいただきありがとうございました。今回が最終回です。これまで35回にわたり、メール営業のエッセンスをお届けしてきました。営業で迷うことがあったら、もう一度読むのもおすすめです。きっと発見があるでしょう。これからも、メールのノウハウを書籍やセミナーで伝え続けていきます。またどこかでお会いしましょう!

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平野友朗

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。実践塾シェアクラブ 主宰。 1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、メルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育・改善の第一人者として知られ、メールコミュニケーションの専門家。メールに関するメディア掲載1500回以上、著書32冊。メールを活用した営業手法には定評があり、メールやメルマガなどを駆使して1万社以上の顧客を開拓。メールのスキルアップ指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などに数多く携わる。官公庁、企業、団体、学校での講演や研修、コンサルティングは年間150回を超える。日本初のビジネスメール教育事業や検定試験を立ち上げるなど、ビジネスメール教育の普及に尽力している。
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