メール営業のポイント【連載最終回】
- 【連載】営業力アップ!メール活用術
最近、メルマガの効果が見直されているように感じます。ウェブサイトで資料をダウンロードしたらメルマガが届くようになったり、名刺交換をした人からメルマガが届きはじめたり。このような経験をしている人は多いでしょう。メルマガを送るのは、効果があるからなのか、他に打つ手がないからなのかは分かりませんが「やっぱり、メルマガは効果がありますね」という声を耳にすることが増えました。そこで今回は、陥りがちな注意点を取り上げ、効果的な一斉送信メールについて解説します。
今まで連絡を取っていなかった相手にメールを送る場合、どのような反応が予想されますか。場合分けをして考えてみましょう。
好意的な反応 | 役に立つ情報だから受け取っておこうと考える。 |
否定的な反応 | 不要な情報を送りつけられたと不快感を抱く。 |
どちらでもない | メール自体が目に入っていない。 |
これまで連絡を取っていない100人に一斉メールを送り、5人が好意的、30人が否定的、65人がどちらでもない反応だったとします。この場合、否定的な人に目が行きがちですが、好意的な5人に目を向けます。このメールを送らなかったら反応しなかったような人が反応すれば、売上につながる可能性があるからです。さらに、どちらでもない人が、今後好意的な反応に変わる可能性もあります
メールを送らなければ、必要か不要かは分かりません。メールを受け取って不要だと思った人には解除してもらい、それ以外の人には接触を続けます。メルマガは、必要な人に、必要だと思ってもらえる情報を届けてこそ意味があります。万人受けする情報は存在しません。送って反応を確認して接点を作ります。
一斉送信メールは、相手が「不要だ」と感じたら解除される可能性があります。解除する仕組みがなければ、メールが届くたびに相手は不快感を募らせ、不快感が高まれば「この会社からは絶対に買わないぞ」という決意が強化されます。これでは本末転倒です。
例えば、あなたが当協会主催『ビジネスメールコミュニケーション講座』に申し込んだとします。申込後に私から「ビジネスメールコミュニケーション講座に参加しませんか?」というメールが届いたら、どうでしょう。
「すでに申し込んでいるのに……リストの管理は大丈夫かなぁ」
「私が申し込んでいるのを把握していないの?」
「集客厳しいのかなぁ」
そのように思うのではないでしょうか。
たくさんの記事の中で、1コーナーとして講座を紹介しているなら違和感はないでしょう。でも、『ビジネスメールコミュニケーション講座』の案内が主題だと、申し込んでいる人からすれば雑に扱われているようで不愉快な思いをします。送り主である会社に対する評価が下がるかもしれません。あらかじめ対象外であることが分かっているときは、送信先から除外するなど管理は欠かせません。
集客したいなら、メールのような体裁で個別に誘うのが一番です。メルマガのようにヘッダーがついていて明らかに一斉送信だと分かる誘いと、一対一のメールのような誘いだったら、どちらの反応が高いでしょう。直感的に分かると思いますが、明らかに後者です。一対一のメールのような体裁だと、読み進めて判断が必要だと考え、無視できません。一方、メルマガのような体裁は、一目で一斉送信だと分り、読まなくても問題がないことを経験から知っているため、無視することがあります。
一対一のメールというのは次のようなイメージです。
○○様 |
これが一対一のメールのような体裁の一斉送信メールです。自分宛てに送られてきた個別のメールとして受け入れてもらいやすくなり、反応が期待できます。
ただ、これを申込者に送ったら逆効果です。場合によっては、不快感につながり、信用を失うこともあります。相手の状況を考え、いかに不自然さがないメールを作れるか。複数のパターンで受信者がどう感じるのか検証して、最適な形を探ることも必要です。
いわゆるメルマガのような一斉送信メールは、相手の状況に合わせて、限りなく一対一のメールに近づいてくと考えています。自分自身のメールの読み方を思い返してみてください。件名と送信者名を見て「誰の」「何の件」かを判断。開封して、自分宛てのメールか一斉送信かによって重み付けをしながら読んでいるはずです。
明らかに一斉送信と分かるものは優先順位が下がり、一対一の自分宛てのメールは優先順位が上がる傾向があります。私の会社では、セミナーのリマインダー、入金のお礼、参加のお礼などは全て一対一のメールとして半自動で送っています。
これから、インサイドセールスが当たり前になってくると、送る数が多いことではなく、質の高い、相手の状況にあったメールを書くことが求められます。違和感を与えない一斉送信メールを書くためには、通常のメールを書くスキルの向上が必要です。通常のメール送信すらままならないと、一斉送信にしても、MA(マーケティングオートメーション)を使った自動化にしても成功はありません。一対一のメールのスキルがメルマガなどへの応用の要といえます。