次のアプローチを決めておく

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お客さまに電話をかけても、なかなか話ができない。そのため、アポイントメントの調整など通常のちょっとしたコミュニケーションはメールを使うというケースが増えています。さらに、検討状況や利用状況の確認などフォローにもメールが大活躍。長期的に接点を管理するためにも、いつか送るメールについても考えておくべきです。そこで今回は、間が空く場合のフォローメールについて解説します。

短期アプローチの弊害

このお客さまはクロージングできるかもしれない。そう思って何度もメールを送ったり、電話をしたり……。このように短期的なアプローチに長けている営業マンに、たくさん会ってきました。確かに「鉄は熱いうちに打て」というとおり、相手が真剣に考えているときに、しっかりアプローチをしてクロージングに持っていくのが通常のパターンです。

でも、多くの営業マンは短期決戦。失注した場合はフォローをしていません。

「今回は導入しないことに決めました」
「いずれ時期を見て検討したいと思います」

このような返事が届いたら「見込みがない」と判断して、新規のアプローチにいそしむ。それまでに良好な関係を築けていたとしても、見込みの低い客の接点を管理するのは非効率だと考えて、優先順位を下げてしまうのです。

仮に、お客さまが再度導入を考えとき、どのような行動を取ると思いますか。接点がなくなっていたら、連絡先をわざわざ探してメールを送ってくれる可能性は低いでしょう。インターネットで検索してホームページから問い合わせたり、展示会に参加したり、たまたま出会った別の営業担当からの導入を決めるかもしれません。

「自分のお客さまだと思っていたのに、なぜ別の営業が受注しているんだ!?」
「見込みがないと思ったのに、急に動き出したとは……」

このように悔やんでも後の祭りです。

重要なのは

「次にどのようなフォローをするかを決めてシナリオを組む」
「弱いつながりでも構わないので連絡を取りやすい状態を維持する」

という2つです。

長期的なフォローシナリオを考える

私は、ビジネスメールの企業研修を行っている自身のビジネスにも「フォローシナリオ」を取り入れています。

例えば、研修が終わったら翌日にお礼メールを送ります。そこには「アンケートがまとまったら見せてくださいね」と書きます。アンケートが届いたら読み込んでフォローアップのために伏線を張ります。「メールのスキルが定着するまで1カ月くらいかかると思うので、1カ月後くらいに連絡しますね」といった感じです。

これを整理すると次のような流れになります。

研修実施
 ↓
お礼メール(翌日) 研修のお礼+アンケート結果の提供依頼
 ↓
アンケートのお礼メール(数日後)
 ↓
状況確認メール(1カ月後)

1カ月経つと課題が新たに見えていて、次の研修やコンサルティングの依頼につながることも珍しくありません。流れを整理すれば提案のタイミングが見えてきます。でも、大半の人は、そこでメールを送り忘れてしまうのです。日々の業務が忙しく、優先順位がもっと高そうなことが目の前に迫っているからかもしれません。

私はタイミングを外さないよう、Googleカレンダーに「○○会社フォローメール」と予定を入れて説明欄にフォローする内容を書き留めるようにしています。つまり、未来の自分のために指示書を作り、カレンダーに入れて忘れないよう、フォローが漏れないようにしているのです。

ちなみに、弊社はG Suiteを導入し、Gmailを利用しています。Gmailには予約配信機能が備わっているので、1カ月後に送るフォローメールを作成して予約配信することもあります。これを使うと手が空いているときに作業ができます。記憶が鮮明なうちにフォローができるため、受注率が高まることは言うまでもないでしょう。

どんな営業マンでもフォローはできる

今回、挙げたのは特別な例ではありません。どんな営業マンであっても、このようなフォローが可能です。受注前のフォローでも使えます。例えば、春のイベントに誘ったけど断られたとします。次に予定している秋のイベントが決定するのは6月頃。その場合、次のようにフォローをしてもよいでしょう。

●春のイベント終了後1週間
⇒どのような内容のイベントだったかを報告するメールを送る

●6月1日(イベント決定予定タイミング)
⇒秋のイベントを真っ先にお知らせするメールを送る

いつ、誰に、どのようなメールを送るのかを整理して、予定を組んでしまうのです。忙しさにかまけて忘れてしまう可能性を少しでも減らすためにも、先手を打ちましょう。

何度も訪問したけど受注できなかった。そのときは長期戦に切り替えます。1年後、2年後、場合によっては10年後の種まきとして接点を維持すべきです。

「お客さまから連絡がなかったら、○日後にメールを送ろう」
「○○の返事がきたから、次は○カ月後に連絡しよう」

このように次の一手を常に考え、メールを送る準備をします。実は、内容が素晴らしくて心が動かされるメールというのは、ほとんどありません。普通の内容で適切なタイミングに届くメール。それが一番効果的なのです。

次のアプローチを決めておく
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平野友朗

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。実践塾シェアクラブ 主宰。 1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、メルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育・改善の第一人者として知られ、メールコミュニケーションの専門家。メールに関するメディア掲載1500回以上、著書32冊。メールを活用した営業手法には定評があり、メールやメルマガなどを駆使して1万社以上の顧客を開拓。メールのスキルアップ指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などに数多く携わる。官公庁、企業、団体、学校での講演や研修、コンサルティングは年間150回を超える。日本初のビジネスメール教育事業や検定試験を立ち上げるなど、ビジネスメール教育の普及に尽力している。
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