メール営業のポイント【連載最終回】
- 【連載】営業力アップ!メール活用術
ウェブサイトのフォームからくる営業が、以前より3~4倍にも増えたように思います。外出を控える中、自宅やオフィスにいながらできるメールでの営業。手軽である一方、送り方を間違えると返事がもらえないどころかイメージダウンにもつながります。営業メールでは導入が成否の分かれ道ともいえるでしょう。今回は営業メールの書き出しについて解説します。
メールの冒頭には宛名を書きます。ウェブサイトに載っているメールアドレスやフォームから問い合わせるときも同様です。ただ、相手と面識がなくて誰に宛てたらいいか分からず、名前が分からないまま送ることがあるかもしれません。中規模以上の会社で担当者が分からないときは「採用ご担当者様」「経理ご担当者様」「マーケティングご担当者様」のように書いてもよいでしょう。
しかし、これは相手が小規模の会社の場合は避けた方が無難です。例えば、社員数が10人以内なら「ご担当者様」と書くのではなく代表者の名前を書くべきです。ウェブサイトの会社概要には代表者の名前がたいてい載っています。小さな会社は社長が問い合わせの窓口をしているケースもあります。「ご担当者様」「代表者様」となっていると「この程度のことも調べていないんだな」と思われるかもしれません。
私たち、一般社団法人日本ビジネスメール協会の『ビジネスメール実態調査2019』によると、仕事で1日に受信しているメールの平均通数は38.07通、送信の平均通数は11.59通です。受信は約38通、送信は約11通と考えると、返事をする必要がないメールは27通以上あるといえます。この中には、目を通すだけのCCやBCCでの受信メール、システムから自動的に送られてくる通知メール、メルマガ、迷惑メール、そして営業メールなども含まれているでしょう。
これだけたくさんのメールを処理していれば、一通ごとに熟読するわけにはいきません。導入を見て、読むかどうかを瞬時に判断しているはずです。私も読む必要がない営業メールだと分かったら、そのまま放置しています。例えば、次のような書き出しのメール、読みたくなるでしょうか。
突然のご連絡失礼いたします。
〇〇をしております。
〇〇株式会社 〇〇部の〇〇と申します。
突然メールをお送りする無礼をお許しください。
〇〇株式会社の〇〇と申します。
このような書き出しは営業メールの特徴です。こうしたフレーズを見た瞬間に「不要な営業メールだろう」と判断して熟読するのをやめます。目を通すとしても「どんなサービスなのか」「こちらのことを考えている提案なのか」を探りながら読み進めます。このような挨拶は「今から私は営業しますよ!」と宣言しているようなものなので、慣れている人なら、ここで警戒色を強めます。
それよりも、初めての連絡ならば「はじめてご連絡いたします」や「お世話になります」といった挨拶の方が自然です。「お世話になっております」だと「お世話していないのに」と思われることがありますが「将来お世話になることがあります」という意味を込めて「お世話になっております」であれば違和感はないでしょう。ただし、初めて送るメールに「いつも大変お世話になっております」とあるのは違和感が強いので避けます。
警戒を解くことが、営業メールを読んでもらう関門の一つです。挨拶と名乗りを見ただけでは、どうしてメール(フォームからの連絡を含む)を送ってきたのかという疑問が解消されません。その段階で自社の紹介や提案、さらには面会の打診をしても興味を持ってもらえる可能性は低いでしょう。
相手の警戒を解くには関係性を伝えることが一番です。間違っても「リストに載っていたのでメールを送りました」「何となくメールしました」などと書いてはいけません。こちらを向いていない営業だと分かった瞬間に、返信率はガクンと下がります。
相手のことを調べて、役に立てると考えてメールを送っていること、個人的に興味を持っている企業ならそのことなど、メールを送った背景を伝えます。
創業3年以内の企業様に限定してご連絡しております。 |
貴社のウェブサイトを拝見し、○○に力を入れていると分かりましたので、ご連絡しました。 |
いつもメールマガジンを楽しく拝見しております。 |
貴社と同業の○○様の事例を公開したので、お知らせします。 |
「ウェブサイトを拝見し」というのはよく使われる文言ですが、フォームからの問い合わせであればウェブサイトを見ているのは当然のこと。相手にあったフレーズを付け加えて、自分事に捉えてもらえるような工夫を忘れずに。相手に響く内容であれば、その後も読んでもらえます。