開封されていないのか、読まれていないだけなのか

開封されていないのか、読まれていないだけなのか

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メール営業の研修の中で「メールの返事がもらえない」という悩みを何度も聞いてきました。返事がもらえないため「届いていないのではないか」「届いていても開封されていないのではないか」と、営業マンはドンドン疑心暗鬼になっていきます。反応がないため「お客さまに迷惑をかけているのではないか」「嫌われているのではないか」「自分がやっている作業は無駄ではないか」と、悪い方に考えてしまいます。そこで、今回は、なぜ返信がもらえないのか。その理由について、段階的に考えてみます。

メールが読まれて返事が届くまでのプロセス(開封されるか)

メールは、送ったら必ず読まれているわけではありません。「必要がない」と思ったら返事をしないでしょうし、そもそも届いていない可能性もあります。営業の現場では、自分で勝手に理由をつけて判断することがあります。そうならないように、メールを送ってから返事が届くまでのプロセスを考えてみましょう。このプロセスが分かっていれば、その都度、点検ができるようになります。 まず、相手のメールアドレスが正しくなければ届きません。初歩的なポイントですが、メールアドレスが間違っていないかを確認すべきです。添付した資料のファイルサイズが大きい場合も届かない(相手にはじかれる)可能性があります。以前、10MBの資料が添付された営業メールを受け取ったことがありますが、そのときは常識のなさに驚きました。 では、届いていれば開封されるのかというと、そうとはいえません。人は、受信トレイでメールの一覧を見た瞬間に「自分宛ての重要なメール」「メルマガ」「営業メール」「迷惑メール」などを瞬時に判断しています。開封する必要のないメールだと思われないことが重要です。 次のような件名だったら、開封されるでしょうか。  ・面会のお願い  ・打ち合わせの依頼  ・○○サービスのご提案  ・秘書代行月額9,800円からご利用いただけます  ・○○についてのご提案 どれが開封されるのかは、一概には言えません。知らない人から「面会のお願い」とあれば、内容が分からないからこそ、最低限開封する人が多いでしょう。自分にメリットのある話かもしれませんし、仕事の依頼かもしれません。開封した上で判断をする可能性が高いです。しかし、このようなメールを同じ相手から何度も受け取った場合、送信者名を見て「また営業か」と判断され、開封されないこともあるでしょう。 また、サービス名称や価格訴求などの言葉は、大勢に一斉送信するときは有効です。ある特定のサービスや価格帯に反応しそうな人の開封率を高めることが目的ならば、こういった訴求もありでしょう。 件名の付け方次第では、1対1のメールにも見えますし、1対多のDMのようにも見えます。相手にどう見てもらいたいのかによっても件名を変えましょう。

メールが読まれて返事が届くまでのプロセス(読んでもらえるか)

開封したら必ず読まれるかというと、そうではありません。順番に見ていたら、たまたま開封してしまったという可能性もあります。SFA(営業支援システム)を利用しているある企業は、開封にクリックと同じ高いスコアをつけていました。開封したということは、高い興味があると思ったのでしょう。しかし、実際は、たまたま開封してしまった人ばかり。そうなると、間違った判断につながります。 メールのファーストビューで「読みたい」「読むべき」だと思ってもらえるのか。これが実は重要です。人は、スクロールして「読み続けるかどうか」を、何を見て判断しているでしょう。 私の場合は、パッと見た瞬間に、自分宛てのメールか、メリットがありそうかどうかで判断します。冒頭の数行を読んで、大勢に宛てたメールだと分かった瞬間に「読まない」と判断することも珍しくありません。 次のようなメールがきたら、どう判断しますか?
株式会社アイ・コミュニケーション 担当者様 突然のメッセージ失礼いたします。 HPを拝見させて頂きメッセージを送らせて頂きました。 ウェブ広告運用を行なっている株式会社○○の××と申します。 突然のご連絡で恐縮ですが、去年から動画元年と言われ、動画に年々、注目が集まっております。 (以下省略)
私はこのメールの冒頭を見た瞬間に、一斉送信だと判断しました。担当の名前も調べていないし(面識がない)、さらに「突然の~」という営業マンがよく使いそうな言葉が入っている。これが主な理由です。自分に関係ないと思った瞬間に、読まれない可能性が高いでしょう。 読まれたら返事がくるのかというと、ここは非常にハードルが高いでしょう。「自分が何者かの自己開示」「なぜこの会社にメールを送ったのか」「メリットのある提案」「次のアクション」といったものが書かれていないと、相手は反応をしようと思いません。 理由が明確で、自分にピンポイントに届くものであれば、精読率が高まります。読んでいる途中でも「関係ない」「必要ない」と判断されたら最後まで読んでもらえないでしょう。つまり、重要な情報や結論を冒頭でしっかり書かないと、その先へは目が進まないのです。 ここまでの話をまとめると以下のようになります。 開封されていないのか、読まれていないだけなのか

メールを送ることを目的にしない

メール営業は、相手の反応が細かくとれるわけではありません。届いているか、読んでいるか、喜んでもらえているか、迷惑をかけているか。いろいろな予測をしながら、次の一手を考えるべきです。 多くの営業マンと出会ってきた中で感じるのが、メールを送ることが目的になってしまっているケースが多いということです。訪問するのが大変だから営業メールを100通送る。メールを送れば、反応があるかもしれないので、まず送ってみる。しかし、メールを送れば結果がともなうかというと、そうではありません。反響がない理由を常に考え、PDCAで回すべき。そこに改善ポイントがあるはずです。 本コラムでは、その改善方法をいろいろな切り口で解説しています。返信率が100%になることはあり得ません。しかし、いまよりも返信率を数%高めることなら可能です。仮に、今の返信率が10%で、売上が1000万円だとします。この返信率が、15%になったら、売上が1500万円になる可能性だってあるわけです。100%を求めるのではなく、この微差を突き詰めていくべきです。
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平野友朗

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。実践塾シェアクラブ 主宰。 1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、メルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育・改善の第一人者として知られ、メールコミュニケーションの専門家。メールに関するメディア掲載1500回以上、著書32冊。メールを活用した営業手法には定評があり、メールやメルマガなどを駆使して1万社以上の顧客を開拓。メールのスキルアップ指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などに数多く携わる。官公庁、企業、団体、学校での講演や研修、コンサルティングは年間150回を超える。日本初のビジネスメール教育事業や検定試験を立ち上げるなど、ビジネスメール教育の普及に尽力している。
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